那須雪崩事故29日に結審・遺族の今の心境は「相応の判決が出ると信じている」

2017年に那須町で登山講習中だった大田原高校の生徒と教諭の8人が雪崩に巻き込まれ死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている講習会の責任者だった教諭ら3人の刑事裁判が、29日結審を迎えます。裁判を傍聴し続けた遺族に今の心境を聞きました。

事故で息子の公輝さん(当時16・高1)を亡くした、父親の奥勝さんです。公輝さんは事故がなければ今ごろ社会人になっている年齢でした。
「(息子が)どういう風に成長してくれたんだろうなとずっと考える。想像はもう追いつかない」

【民事調停・民事裁判】
一部遺族は謝罪などを求め、2020年、県などを相手に申し立てた民事調停には3人は出席せず不成立。2022年、県や県高体連、3人に損害賠償を求め提訴。宇都宮地裁は県側の過失を認め、県と県高体連に約2億9千万円の損害賠償を命じました。遺族らはその後の会見で、事故が「人災」だと認められたとする一方、3人による過失責任を認めた謝罪がされていないと不満を述べました。

【刑事裁判】
2022年、宇都宮地検は3人を業務上過失致死傷の罪で在宅起訴しました。起訴状などによりますと「雪崩の発生する危険を予想できたにも関わらず、安全確保のための情報収集を怠ったうえ、漫然と雪上歩行訓練を行い雪崩に巻き込まれた生徒や教員を死亡させた」などとしています。遺族らは被害者参加制度で裁判に参加。初公判で3被告は雪崩を「予想できなかった」などと述べ無罪を主張しました。被告人質問で被告の1人は、「訓練範囲は明確に定めた」とした上で、定めた場所より生徒の「上へ登りたい」といった意見に「押し切られたところがあった」と述べました。

奥さんは、事故に関することを書き留めています。ノートは7冊を超え16回にも及ぶ刑事裁判の内容も綴られています。こちらのページには、結審を迎えるにあたっての今の気持ちが記されています。

「(被告の)主張は何も証拠がない」

そして「時間はかかったが、検察の主張を裏付けるものが積み重なってきた」「彼らに罪の意識を求めても無駄なのではと思い始めていて、何か求めるとしたら、相応の判決が出ると信じているし、判決を受け入れてもらいたい」と述べました。刑事裁判は29日、宇都宮地裁で結審を迎えます。

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