二の鳥居脇に「氷川劇場」 旧大宮図書館地下で音楽イベント「大宮の文化、魅力を発信する拠点に」

「氷川劇場」のイベントには、ロックバンドやジャズシンガーが出演した=17日、さいたま市大宮区高鼻町

 「氷川劇場(改装中) 大宮氷川参道二ノ鳥居前」のイベントが16~18日、さいたま市立旧大宮図書館をリノベーションした複合施設「Bibli(ビブリ)」(埼玉県さいたま市大宮区高鼻町)で開催され、ジャズシンガーやロックバンドが出演した。旧大宮図書館地下1階の講堂・視聴覚ホールを「劇場」として活用。大宮文化の発信や地域のにぎわい創出を目指し、今年5月以降に本格オープンを予定している。

 運営するのは、一般社団法人「賑(にぎわい)ノ杜(もり)」。ビブリは武蔵一宮氷川神社の氷川参道、二の鳥居の脇に位置する。代表理事の五十嵐伸幸さん(47)は、二の鳥居の周辺地域を活気づけようと企画した。視聴覚ホールは旧図書館時代、映画上映会などが開かれていたものの、ビブリが2021年12月に開業してから、利用されていなかった。劇場として復活させることで誘客し、周辺飲食店の出店による地域経済の活性化も促していくという。

 大宮の地名は「大いなる宮居」が由来とされ、五十嵐さんは氷川神社とも相談し、「氷川劇場」と命名した。二の鳥居付近のシンボルにしたいとして、「地元の人が改めて、『いい場所だね』と思ってもらえるようにしたい。表現をしたい人はたくさんいて、人が集まり、何かが生まれるかもしれない」と意気込む。5月以降の本格オープン後は、ライブのほか、演劇、朗読会、子どもたちが学ぶ寺子屋などの開催を検討している。

 イベントの3日間は、約60の観客席がほぼ満席になり盛況だった。17日はロックバンド、ジャズ、飛び入りでゴスペルの歌手が登壇。観客は力強い歌声に魅了され、拍手を送っていた。出演者から「多くのミュージシャン、アーティストが利用できる場所になると思う。地域の魅力を発信する場所として繁栄してほしい」と期待の声が上がった。

 近くに住む山崎聖一さん(71)は連日訪れた。「人のつながりがとても大事。(氷川劇場は)素材として面白く、大宮の魅力を発信するベースになると思う。若い人のエネルギーが形になっていく期待を感じた」。大宮生まれ大宮育ちの山崎さんは「氷川参道が良くなってもらいたくてしょうがない」と語った。

 元大宮区長で埼玉詩人会理事長の宮沢新樹さん(71)は16日、ジャズシンガーと一緒に参加し、楽器の口琴を演奏した。趣旨に賛同して、45年ほど前に購入したアップライトピアノを寄贈している。宮沢さんは氷川劇場について、「地元の人が使って地域を盛り上げ、大宮の文化を発信する拠点になってほしい」と話していた。

宮沢新樹さんが寄贈したアップライトピアノ(右)(提供写真)

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