自分のゴールで勝利を――なでしこ藤野あおばの“貪欲な姿勢”が生んだ北朝鮮戦の決勝弾「軌道的には貴子さんを狙ったんだろうなと」

自分のゴールで勝利を――。結果を求める貪欲な姿勢が日本を勝利に導いた。

なでしこジャパンは2月28日、パリ五輪・アジア最終予選の第2戦で北朝鮮女子代表と国立競技場で対戦。2-1で勝利し、本大会行きの切符を手にした。

決勝ゴールを挙げたのは藤野あおば。1-0とリードして迎えた77分、敵陣でボールを奪ったショートカウンターから、長野風花が右サイドに絶妙なスルーパスを供給した。

これに反応した清水梨紗が、ワンタッチでチェックにきた相手の股を抜いてかわし、クロスを供給すると、飛び込んだ藤野が自身のプロキャリアで初めてだと言うヘディング弾を挙げた。

前半から積極的にシュートを放ち、守備でも献身的なプレスバックでボールを奪い返すなど、攻守に存在感を示していた20歳のアタッカーだが、「ゴール以外を見たら、チームにとってプラスになれていなかった」と自身としてはプレーに納得がいっていなかった。

【動画】藤野あおばの決勝弾!
だからこそ結果で巻き返したいと、クロスに対してゴール前に飛び込む機会をうかがっていた。

「(得点シーンで)クロスの部分はゴール前に入っていきたいと思っていましたし、(ボールの)軌道的には(清家)貴子さんを狙ったんだろうなというのが分かったんですけど、自分が決めたかったので、そこは飛び込みました。

GKが移動しているところも見えていたので、あとは当てるだけでした。嬉しかったです」

その後、1失点したものの、なでしこジャパンは最後まで1点のリードを守り切り、パリ五輪への出場権を獲得した。

藤野は試合終了の笛が鳴った瞬間、「やり切ったなと思った」と達成感が込み上げてきたというが、試合後、記者陣の前に姿を現した際には、すでに先を見据え切り替えている様子だった。

「これからのパリ五輪を含めて、皆さんに期待してもらえると嬉しい。一歩ずつ成長していかないと金メダルは遠いと思うので、そこは今日出た課題も含めて、自分にフォーカスしてやっていきたい」

チームを勝たせられる存在になるため、藤野はこれからも成長を求めて走り続ける。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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