国内時計市場に関する調査を実施(2024年)~2022年の国内ウォッチ市場は高級時計の需要増加により市場規模が拡大、インポートウォッチブランドおよび国産ウォッチの高価格帯が好調~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の時計(ウォッチ、クロック)市場を調査し、製品セグメント別の動向、注目すべき動向、将来展望を明らかにした。ここでは、国内ウォッチ(腕時計)市場の分析結果を公表する。

1.市場概況

一般社団法人日本時計協会データによると2022年の国内ウォッチ市場規模は小売金額ベースで、前年比122.1%の8,714億円であった。富裕層を中心に実物資産として高級時計の売れ行きが好調となったこと、訪日外国人観光客によるインバウンド需要が復活しつつあること、SNS等の販促が奏功し、若い世代の顧客獲得に成功したブランドが増加したことなどにより2年連続でプラスに推移した。スイス時計を中心としたインポートラグジュアリーウォッチや、国産ブランドの高価格帯ウォッチの好調が市場をけん引した。流通チャネルでは、高価格帯のウォッチの需要増加により、特にそれらを主に取り扱っている百貨店が好調であった。

2.注目トピック~高級時計の需要増加が市場をけん引~

コロナ禍をきっかけとして国内富裕層を中心に高級時計の需要が増加した。要因として、実物資産として投資対象となったこと、金融緩和により世界的にカネ余り現象となったこと、レジャーを控える代わりの消費活動の一環として購入した、これまでウォッチに縁のなかった新規顧客が出現したことなどが挙げられる。特にこれまで高級時計に対し関心の低かった若い世代の富裕層は、売却を前提とした投資対象として購入するケースが多く、これまでにない新しい顧客として高級時計の需要拡大をけん引した。

3.将来展望

2023年の国内ウォッチ市場規模(小売金額ベース)は前年比115.1%の1兆30億円と予測する。物価上昇に伴う消費者の節約志向の高まりといった向かい風もあるが、高価格帯ブランドに加え、中核ブランドが貢献するなど底堅さを維持し、またインバウンド需要もさらに回復に向かっていることからプラスに推移することが見込まれる。

近年は補償サービスの拡充に加え、ウォッチブランド自身が修理・メンテナンス体制を整備することにより顧客との信頼関係構築に力を入れるケースが多くみられる。安心して購入できる健全な市場としての醸成を図ることで新規顧客によるマーケットの裾野が拡大していくと考えられる。

© 矢野経済研究所

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