急増する24時間ジム、人気の秘密 なぜ通い、どこを鍛えているのか 利用者を直撃すると

9日午後6時20分 腕を太くするため上腕二頭筋と上腕三頭筋を交互に鍛える男性(福知山市篠尾新町・ワールドプラスジム福知山店)

 京都府福知山市内の24時間フィットネスジムで、9日午前10時から10日午前10時にかけて密着取材に挑んだ。夜も客足は途切れることがなく、延べ135人(男性110人、女性25人)が黙々とトレーニング器具に向き合っていた。なぜジムに通っているのか。どこを鍛えているのか。気になってアンケートをお願いしたところ、53人(男性40人、女性13人)が答えてくれた。

 ジムに通う理由で最も多かったのが、17人が挙げた「健康維持」だった。次いで「ダイエット」と「体力づくり」が14人で並び、筋肉質な体がかっこいいとして「理想の体をつくり上げるため」も8人いた。

 「健康維持」を挙げた中には、病気やけがをきっかけに始めた人もいた。ヘルニアと糖尿病の改善のため医師に勧められたという男性(52)は「やらざるを得ない状況でつらかったが、毎日続けて数値が良くなった」と笑顔を見せた。

 ダイエット目的で始めた女性看護師(22)は「最初は周りの目が気になったけど、みんなが自分のトレーニングに集中していて安心した」と話す。福知山マラソンでの完走を目指す同僚(23)とともにランニングマシンで汗を流した。

 鍛え上げた体の美しさを競うコンテストを目標に掲げる人も少なくない。市内の長田野工業団地で働く荒木翔さん(24)は6月のフィジーク大会への出場を目指す。夜勤と日勤が定期的に入れ替わる勤務状況でも週6日、一日3時間の筋トレを欠かさない。「マッチョになったらモテるかなと思って始めたけど、今は自分の体が仕上がっていくのが一番の楽しみ」と話す。

 トレーニング歴11年の宮口誠司さん(31)も大会を見据える。「長年の積み重ねで自信がついてきた。表彰台に立てるよう追い込みたい」。丸みのある肩、広く厚い背中など大会基準の体作りに余念がない。筋トレを終え、鏡の前で何度もポージングを繰り返した。

 お気に入りの部位(複数回答可)で最も多かったのが「胸」だ。「成長を感じやすい」「Tシャツを着た時の見た目が良くなる」との理由で10~40代の男性14人が回答した。ベンチプレス大会に出場するため毎日鍛え、150キロ以上を持ち上げる猛者もいた。

 次いで多かったのが「背中」で、トレーニング後に筋肉の張りが残り「満足感や充実感を得られる」と男性9人が挙げた。男女8人が選んだ「腕」は女性は「細くするため」、男性は「太くするため」と正反対の理由だったのが面白い。

 女性では「細く見られたい」「モデルのようにきれいに割りたい」と、「腹筋」が最多の3票だった。

 肉体美を競うコンテストを目指す「トレーニー」の3人はそろって採点で重視される「肩」を挙げた。

■京都府内でフィットネスジムが急増

 新型コロナウイルス禍が和らぎ、フィットネスジムが再び盛り上がっている。

 スポーツ庁が実施した調査では、民間が運営するトレーニング施設は2021年度で全国6427カ所に達し、15年度(1606カ所)の4倍に増えた。

 府内でも15年度の20カ所から7倍近くに増え、21年度は136カ所になった。低価格、短時間で利用できるフィットネスジムの普及も進み、「筋トレ」がより身近になりつつある。

 利用者数も回復の兆しを見せる。経済産業省の調査では、フィットネスジムの全国の会員数はコロナ禍の21年度に25万8千人に落ち込んだが、22年度は26万3千人に持ち直した。利用回数も20年度の1億6600万回から22年度は2億1200万回に増えている。

© 株式会社京都新聞社