娘から「孫を預かってほしい」と頼まれるのですが、私も「年金」が少なく定年後も働いています。今は預けるところも増えていると聞くのですが、それも難しいのでしょうか…?

子どもの一時預かりサービスは増えている?

保育所などに入れずに「空き」を待っている「待機児童」の数は、2018~23年までの6年間で大きく減少しました。2013~17年までは2万人台で推移していましたが、2018年に2万人を切ってからは減少傾向に転じています。

2017年には2万6081人いた全国の待機児童の数は年々減り続け、2023年には約2680人にまで減少しました。その要因としては、「就学前人口の減少」とともに、子どもの一時預かりサービスを含む「保育の受け皿」の増加が挙げられます。

子どもの一時預かりサービスを含む保育の受け皿は、2017年には約284万人分でした。ところが、それ以降は年々増加し、2023年には約323万人分にまで増えています。これは、子育てに関する国の施策に基づき、各自治体が「保育施設の新規開設」といった子育て事業に取り組んだ結果です。では、保育の受け皿のひとつである子どもの一時預かりサービスには、どのような種類があるのでしょうか。

子どもの一時預かりサービスの種類

子どもの一時預かりサービスには、認可外保育施設、ファミリーサポートセンター、一時預かり、病児保育などがあります。それぞれの仕組みや料金などは、以下のとおりです。

・認可外保育施設

認可外保育施設(無認可)は、認可保育所、認定こども園、地域型保育事業以外の、子どもの保育施設です。同施設には、訪問型のベビーシッターも含まれます。費用は、各施設によって異なりますが、子ども1人あたり月額1万円未満~7万円以上と幅があります。

・ファミリーサポートセンター

ファミリーサポートセンターは、「外出時の子どもの預かり」や「保育施設への送迎」などの援助を受けたい人と、援助をしたい人をマッチングしています。運営は、自治体から委託された法人が担います。費用は自治体や時間帯などによって異なりますが、おおむね子ども1人あたり1時間800円~1000円程度です。

・一時預かり

一時預かりは、子どもを一時的に認可保育所や認定こども園などで預かる事業です。買い物や通院といった日常のさまざまな外出時のほか、「育児疲れ」で子どもから一時的に離れたいときなどにも利用できます。費用は、自治体によって異なっていて、子ども1人あたり1時間一律800円の自治体もあれば、時間によって1600円~3200円と幅のある自治体もあります。

・病児保育

病児保育は、仕事などによって自宅で病気の子どもの保育が困難な場合に、病院や保育所などで預かります。費用は、施設託児型か自宅訪問型か、また預かる施設が保育園か病院かで異なりますが、施設託児型の料金はおおむね子ども1人あたり1日2000円~3000円程度です。

幼児教育・保育の無償化とは

前項で紹介した子どもの一時預かりサービスにも、幼児教育・保育の無償化という、費用の補助制度があります。無償化できるのは、3~5歳までの子どもと、0~2歳までの住民税非課税世帯の子どもにかかる費用です。金額は、3~5歳までの子どもが月額3万7000円まで、0~2歳までの住民税非課税世帯の子どもは月額4万2000円までとなっています。

ただし、無償化の対象になるには、保護者が住所地の市区町村に申請を行って、「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。なお、同認定を受けるための条件(保護者の就労状況など)は自治体によって異なるため、申請前に住所地の市区町村に確認しておくと安心です。

孫を預かれない場合は、子どもの一時預かりサービス利用を促そう

子どもを預ける施設が増えているという話は事実です。待機児童の数は、2018~23年までの6年間で、2017年の10分の1にまで減少しています。これは、子どもを預けられる施設などの増加によって、保育の受け皿が拡大した結果です。

これらを踏まえると、子どもを保育施設などに預けることは、それほど難しいことではないといえるでしょう。しかも、子どもの一時預かりサービスには、費用を無償化できるという制度があります。もし、仕事で孫を預かることができないのであれば、娘に子どもの一時預かりサービスの利用を促してみてはどうでしょうか。

出典

こども家庭庁 令和5年4月の待機児童数調査のポイント
内閣府 令和5年版高齢者白書(全体版)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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