JUJU、東京ドームで一夜限りの大人の歌謡祭で見せた未来「これからの20年に続くように」

JUJU【撮影=Michiko Kiseki(KISEKI inck)、Chie Kato(CAPS)、Kayoko Yamamoto】

今年デビュー20周年を迎えるシンガーのJUJUが17日、東京ドームで『ソニー銀行 presents -ジュジュ苑スーパーライブ- スナックJUJU 東京ドーム店 ~ママがJUJU 20周年を盛大にお祝い!! 一夜限りの大人の歌謡祭~』を開催した。「スナックJUJU」は会場を大きなスナックに見立て、JUJUが“ママ”として昭和歌謡を中心にさまざまなカバー曲を披露するライブシリーズ。自身初となる東京ドーム公演には、昭和を彩った名曲たちに加え、小田和正、鈴木雅之、NOKKOがスーパーゲストとして登場。3人の代表曲をママがデュエットしオーディエンスを魅了した。一夜限りの大人の歌謡祭の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

スーパーゲストと豪華デュエット

ジャジーなBGMがドームに流れるなか、会場がこれから始まるショーへの期待感で満ちていくのが感じられる。開演時刻になったところで、スナックJUJUのボーイ(天の声)の神尾晋一郎が「これからの時間にたっぷりと酔いしれてください」と告げると、ステージに設置されたスクリーンにママの姿。スナックの扉を開ける映像から、スクリーンがゆっくりと開き、キラキラとした衣装を纏ったママが登場。大きな歓声と拍手で迎えられた。

オープニングを飾ったのは、「二人でお酒を」(梓みちよ)。ストリングス、ブラスとゴージャスなサウンドをバックに、哀愁のある伸びやかな歌声をドームに響かせるママ。オーディエンスが装着したLEDリストバンドの色が曲の進行に合わせ美しく変化していくのが印象的だった「メモリーグラス」(堀江淳)、続けて「じれったい」(安全地帯)の3曲を披露。極上の歌声とグルーヴがドームを包み込んだ。

MCでは、ここに立っているのはJUJUではなく“ママ”であるということ、そんなママがJUJUのデビュー20周年を応援するため、“スナックJUJU水道橋店”をオープンしたというママの想いを伝えた。

ママは「皆さんとふらっとどこかに旅に出たいな」と話し、「桃色吐息」(高橋真梨子)、「異邦人」(久保田早紀)、さらに恋の始まりのワクワク感を楽しんでほしいと、ダンサーも加わり「CHA-CHA-CHA」(石井明美)を披露。華やかなステージで会場を大いに盛り上げた。改めて、日本の名曲、ヒット曲の凄みを感じさせてくれた。

1人目のスーパーゲストとしてラヴソングの王様・鈴木雅之が登場し「め組のひと」をパフォーマンス。JUJUはハーモニーで鈴木の歌を彩り、「違う、そうじゃない」では2人による掛け合いも。そして、再び「め組のひと」に戻るというスペシャルメドレーでオーディエンスを沸かせた。鈴木は、「JUJUはデビュー当時から大好きで、宇宙で一番ピンヒールが似合う女性」と絶賛。そして、もう1曲「ロンリー・チャップリン」をデュエットし息のあった歌唱で楽しませた。歌唱後にママは「このお店でマーチン(鈴木雅之の愛称)さんとお会いできて幸せです」としみじみ。

続いて、大人の恋には悩みはつきものと語り、届けられたのは「私はピアノ」(サザンオールスターズ)を歌い紡ぐ。そして、ステージに設置されたスナックのカウンターに並べられたイスに腰をかけ、「恋におちて -Fall In love-」(小林明子)を雰囲気たっぷりに歌い上げるその姿は、デビュー20年の貫禄も感じさせてくれた瞬間だった。

ここでママとのデュエットコーナーへ。事前に「つぐない」「ラヴ・イズ・オーヴァー」「もしかして PARTII」「居酒屋」の4曲からママとデュエットしたい人を募集。応募した人とこの場でデュエットを行うという企画だ。この場で抽選をし選ばれた4人がジャンケンをし、勝った人がママとデュエットができる権利を得られるというもの。ジャンケンの結果「ラヴ・イズ・オーヴァー」に決定した。ママと当選した女性の2人で会話を展開したのち、「ラヴ・イズ・オーヴァー」をしっとりと届け、最後は熱いハグを交わし、デュエットコーナーを締め括った。

そして、“今月のユーミン”のコーナーへ。時刻は18時30分、日が翳っていくこの時間帯に届けられたのは、「翳りゆく部屋」。荒井由実時代の最後のシングルだ。荘厳なオルガンのサウンドが広がり、ステージ上はスモークで幻想的な空間が広がっていくなか、歌詞を噛み締めるように丁寧に言葉を伝えていく。

続いて、スーパーゲスト2人目のNOKKOが登場。レベッカの「フレンズ」、そして「RASPBERRY DREAM」の2曲をクールに披露し会場を盛り上げた。NOKKOは「80年代のストリートからやってまいりました!」とオーディエンスに粋な挨拶。ママは「NOKKOさんを見ながら、こんな“スーパーガール”になりたいと思っていました。このお店にようこそいらっしゃいました。ありがとうございます。」と憧れのNOKKOを目の前に感無量といった様子。続けて「夢を追いかけようと思ったその日から、この曲を聴いてすごく励まされましたし、うまくいかなくてもきっとこの先にいいことがあるんじゃないか、と希望をくれた曲」と次に届ける曲への想いを語り「Maybe Tomorrow」をデュエット。想いを馳せながら歌うママの姿が印象的だった。

皆さんと過ごした時間、わたし一生宝ものとして生きていきます

ここで、スナックJUJUのボーイの神尾晋一郎と共に、トロッコに乗りアリーナを回ることに。トロッコに乗りながら届いた悩み相談に丁寧に答えながら、アリーナ後方に設置された特設ステージに移動。このセクションではアコースティックセットで、今の季節にぴったりな「なごり雪」(かぐや姫)をアコギとストリングス、コーラス隊とミニマムな編成で届けた。もう1曲は「いとしのエリー」(サザンオールスターズ)。多彩な表現力でしっとりと聴かせてくれた。歌声がよりダイレクトに耳に届けられる贅沢な瞬間だった。

昨年開催された全国ツアーでご当地曲を53曲披露してきたというママ。今日はこの水道橋でもう一度を聴きたい曲を募集し、リクエストが多かった曲をトロッコで移動しながら披露したいという。「もし、私が(皆さんに)マイクを向けるようなことがあったら大声をいただけますか?」と呼びかけ、「伊勢佐木町ブルース」(青江三奈)を披露。オーディエンスのコール&レスポンスが会場との一体感を高めていた。続けて、ラテンのリズムが心地いい「どうにもとまらない」(山本リンダ)では、ドームにオーディエンスによるクラップが盛大に響き渡るなか、ライブは佳境に突入。

暗闇のメインステージに明かりが灯ると、そこにはスーパーゲストの3人目、小田和正の姿が。会場から感嘆の声が響くなか、小田はキーボードを弾きながら「言葉にできない」を歌唱。それを隣で見つめるママの姿も印象的。小田が快活に「どーもー!」と挨拶をすると、ママは「小田さんのどーもは景気がいい!

特別です!」と喜ぶ。小田は「みなさんも参加してくれたら嬉しいです」と伝え、「Yes-No」、2人でステージの両端まで移動しながら、「ラブ・ストーリーは突然に」を披露。小田の透明感あるハイトーンボイスに、ママの深みのある歌声のコントラストが絶品。オーディエンスも2人の歌声に酔いしれた。

特効のド派手な爆破から「あゝ無情」(アン・ルイス)を皮切りに「嵐の素顔」(工藤静香)、「淋しい熱帯魚」(Wink)、「DESIRE -情熱-」(中森明菜)、「ミ・アモーレ」(中森明菜)と怒涛のメドレーを届け、ボルテージは最高潮。ママは「宴もたけなわですが、そろそろ閉店のお時間でございます。この場所で皆さんと過ごした時間、わたし一生宝ものとして生きていきます。本日はご来店誠にありがとうございました」と伝え、「喝采」(ちあきなおみ)を歌唱。キラキラと紙吹雪が舞うなか、本編オーラスにふさわしい演出でスナックJUJU“は閉店”した。

アンコールに応え登場したのは、ママではなくJUJU。テレビ朝日系木曜ドラマ『グレイトギフト』主題歌の新曲「一線」を初披露した。ミステリアスでスリリングなアレンジがライブで映えるアップチューンだ。そして、「新曲だけ披露して帰るわけにはいかないんです」と告げ、スナックJUJUの架空のカラオケシステム「Cat Sound」のデンモクで「いいのを発見した!」と「JUJUメドレー2024」をパフォーマンス。「What You Want」、「素直になれたら」、「明日がくるなら」、「ラストシーン」、「この夜を止めてよ」、「S.H.E.」、「YOU」をメドレーで披露。「最後にもう一曲、この曲を皆さんと一緒に歌えたらと思います」と、自身の代表曲「やさしさで溢れるように」を全身全霊で歌い上げ、大団円を迎えた。

JUJUは、「みなさんに連れてきていただいた20年、そしてこれからの20年に続くように、これからも何卒JUJUと、ちょっとだけママもよろしくお願いします」と語り、最後はオフマイクで「ありがとうございました!」と感謝を伝え、ステージを後にした。

セットリスト

「ソニー銀行 presents -ジュジュ苑スーパーライブ- スナックJUJU 東京ドーム店 ~ママがJUJU 20周年を盛大にお祝い!! 一夜限りの大人の歌謡祭~」@東京ドーム 01.二人でお酒を 02.メモリーグラス 03.じれったい 04.桃色吐息 05.異邦人 06.CHA-CHA-CHA 07.め組のひと〜違う、そうじゃない 08.ロンリー・チャップリン 09.私はピアノ 10.恋におちて -Fall In love- 11.ラヴ・イズ・オーヴァー 12.翳りゆく部屋 13.フレンズ〜RASPBERRY DREAM 14.Maybe Tomorrow 15.なごり雪 16.いとしのエリー 17.伊勢佐木町ブルース〜どうにもとまらない 18.言葉にできない 19.Yes-No〜ラブ・ストーリーは突然に 20. あゝ無情~嵐の素顔~淋しい熱帯魚~DESIRE-情熱-~ミ・アモーレ 21.喝采 EN1.一線 EN2.「JUJUメドレー2024」(What You Want~素直になれたら~明日がくるなら~ラストシーン~この夜を止めてよ~S.H.E.~YOU~やさしさで溢れるように)

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