ナワリヌイ氏の葬儀、3月1日午後にモスクワで 厳戒態勢の予想

ロシア北極圏の刑務所で急死したことが16日に発表された反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)の葬儀が、3月1日午後にモスクワ南部で執り行われることが明らかになった。関係者らが28日に発表した。

ナワリヌイ氏の広報担当キラ・ヤルミシュ氏ら

で、モスクワ南東部マリイノ地区の教会で現地時間1日午後2時(日本時間同8時)に告別式が行われると発表した。遺体はその後、ボリソフスコエ墓地に埋葬されるという。

告別式にはだれでも参加できるとして、「(アレクセイに)お別れをしたい人は、お別れができる」と説明している。

28日に仏ストラスブールの欧州議会で演説したナワリヌイ氏の妻ユリア・ナワルナヤ氏は、葬儀が混乱のないまま行われるのかどうか、追悼のために訪れる人たちが警察に逮捕されるのかどうか、わからないと話した。

葬儀会社に次々と断られ

ナワリヌイ氏の側近たちは、告別式の開催や埋葬についてこれまで、当局からさまざまな妨害を受け、ほとんどの葬儀会社に「予定がいっぱいだ」などと断られ続け、ナワリヌイ氏の葬儀だとわかると扱いを断られたことも明らかにした。

「私たちとかかわることを葬儀会社は禁止されているのだと、そう言って断ってきたところもある」と、

「FSB(連邦保安庁)が教会に圧力をかける可能性もある。その場合は、墓地や別の教会でお別れを言うことになる。いずれにしても、告別式はどこかで行うし、みんながアレクセイにお別れを言う機会を絶対に作る」とも、支援チームは書いている。

側近たちは当初29日に葬儀を希望していたものの、「その日に墓を掘ることができる人は誰一人いないことが、すぐに明らかになった」と、ナワリヌイ氏が設立した反腐敗財団の

ウラジーミル・プーチン大統領の演説が29日に予定されているからだろうと、ジダーノフ氏は書き、「アレクセイのお別れの日に演説が重なったら、プーチンの演説など誰にとってもどうでもよくなるとクレムリン(ロシア大統領府)は理解しているのだ」とも記した。

新しい対抗方法の工夫求める

28日に欧州議会で演説したユリア・ナワルナヤ氏は、ロシアがウクライナで「残虐で卑劣」な戦争を戦っていると非難し、西側諸国の対ロ戦略はうまくいっていないと述べた。

「新しく何か決議しても、前と何も変わらない制裁を発動しても、プーチンを痛めつけることはできない」とユリア氏は述べ、亡くなった夫を参考に、新しい対抗方法を見つけるよう呼びかけた。

ユリア氏はナワリヌイ氏が「発明家」で、「何についても新しいアイデアを思いついた人だったが、特に政治についてはそうだった」と説明。欧州議会の議員たちに、「(いつまでも変わらない)退屈なやり方はもうやめなくては」と促した。

受刑者交換の交渉?

近年のロシアで最も声高にプーチン政権を批判していたナワリヌイ氏が死亡した詳しい状況は明らかになっていない。母リュドミラさんによるとロシア当局は当初、遺体引き渡しについてもさまざまな条件をつけて、なかなか応じなかったという。遺体が引き渡されたのは、死亡発表から8日後のことだった。

人権団体OVO-Infoによると、ナワリヌイ氏の死後、ロシア各地で追悼の花を供える人が次々と逮捕され、その人数は約400人に上る。

それだけに、3月1日の葬儀でも、警察が厳戒態勢を敷くことが予想される。

反腐敗財団のマリア・ペフチフ委員長は26日に、

で、ナワリヌイ氏が亡くなる直前まで、囚人交換の交渉が進み、間もなく釈放されるところだったのだと話した。

ペフチフ氏はまた、チェチェン反政府指導者を2019年に暗殺した罪でドイツで終身刑に服しているロシア人男性の身柄引き渡しと交換に、ロシアで拘束されているアメリカ国民2人とナワリヌイ氏が釈放されるという合意が、2年間の交渉を経て昨年12月にまとまったばかりだったと説明した。

クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は英紙フィナンシャル・タイムズに、「そのような合意がされたとは承知していない」と話した。

ドイツ政府の報道官は26日、受刑者交換について報道されていることは承知しているとのみ発言した。

BBCはペフチフ氏の発言を裏付ける情報を得ていない。同氏の発言を独自に検証することもできていない。

(英語記事 Alexei Navalny's funeral to be held on Friday in Moscow

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