パク・ジュニョンが14thシングル『寒流(かんりゅう)』をリリース! 「ついに自分の代表曲に出会えたと思いました」

日本デビュー13年目を迎えたパク・ジュニョンが、2024年の勝負曲『寒流』を、カップリング曲の異なる2タイプで2月28日にリリースする。14枚目のシングルとなる本作は、作詞に水木れいじ、作曲にシンガーソングライターの小田純平を初めて迎えた作品(編曲:杉山ユカリ)。二度と帰らぬ人へ向けてあふれ出す「逢いたい」という哀しみを繊細かつエネルギッシュな歌唱で表現している。自ら「自分の代表曲に出会えた」とまで語る新曲に込めた思いや自身で作曲も手掛けたカップリング曲の制作エピソード、母国への里帰りなどプライベートライフまでを聞いた。


歌詞を見た瞬間、祖父の姿を思い出した

――『寒流』は、アップテンポで軽快なナンバーだった前2作の『銀閣寺』『渇いた街』とは詞も曲もガラッと雰囲気が変わり、パクさんの新たな歌の世界が生まれたように思いましたが、ご自身はどのようにお感じになっていますか?

ついに自分の代表曲に出会えたと思いました。もちろんこれまでの曲が代表曲ではないという意味ではありませんが、自分が勝負をかけられる曲に出会えたと、完成したときに心の底から感じられたんです。

――CDリリース前から自分の代表曲になると確信できるほどの曲とめぐり逢えたのですね。

『寒流』は僕にとって初めての小田先生の曲ですが、コロナ禍以前から先生の曲を歌いたいと考えていました。これまで先生の作品もカバーさせていただいていましたし、ステージでファンの皆さんにいつか先生に書いていただいたオリジナル曲を歌いたいとお話したこともあります。そのことは小田先生もご存じで、かねてから「ジュニョンの曲を俺が書きたい」とおっしゃってくださっていたので、ついに念願が叶った思いです。自分にはまさに運命の曲という感じがします。

――実際にレコーディングで歌われてみて、そのような思いになっていったのでしょうか。

まず水木先生の詞を目にして、言葉ひとつひとつの深さと詞全体の壮大なイメージを感じました。詞を見た瞬間、僕は亡くなった自分の祖父を思い出したんです。おじいちゃんはもともと北朝鮮の地域の出身で、朝鮮戦争のときに南にきたんです。家族とも離れ離れになって、戦後も再会することは叶いませんでした。おそらく亡くなるまで北に残してきた家族のことを片時も忘れることはなかったと思います。『寒流』の詞の世界は、逢えない人への切ない思いを語るものなので、脳裏におじいちゃんがよみがえってきました。おじいちゃんはお酒をよく飲んでいたのですが、深酒を叱ってくれというような歌詞もあって、ありし日のおじいちゃんの姿を重ね合わせ、家族と逢えていたらお酒もやめていたのかなと感じ入るようなところもありました。これこそ自分の曲だと思いました。

――なるほど、恋する男女の逢うことができない哀しみという図式だけではなく、南北分断をはじめ、さまざまな理由で引き裂かれざるをえなかった人々の心のありようを考えると、この作品の持つ世界が一気に広がる思いがします。

この話を水木先生にお伝えしたところ、先生は「これはきっと、ジュニョン君のおじいちゃんが自分のところに来て、書かせてくれたんじゃない」とおっしゃってくださいました。それに先生はこれまでの僕の曲をすべて聴いてくださり、僕の得意な発音やそうではない発音もすべて計算されて詞を書いたそうで、すごいと思いました。

歌唱で表現したのは“魂の叫び”

――「逢いたい」と繰り返す、己の激情をストレートにたたきつけるようなサビの歌唱もインパクトがありますね。

小田先生は「ジュニョンのことだけを考えて作ったメロディーだ」とおっしゃってくださいました。歌いながら自分でも音域がぴったりと合う感覚で、声の出し方も含めて難しい曲ですが、自分にとってはとても歌いやすく、小田先生が自分に合わせて作ってくださったことを実感しました。不思議なほど、自分の身体にはまるメロディーなんです。レコーディングでは、自然と心拍が上がり、アドレナリンが湧き出してくるような感じでした。

――CDが完成して、自分でお聴きになってどのように感じられましたか。

もう、本当によかったです。詞、曲、アレンジ、これほど三拍子が揃ったと感じたのは、自分でも珍しいくらいです。杉山先生にアレンジしていただいたサウンドもイントロから壮大です。先生方がまるでオーダーメードのスーツのように作ってくださった素晴らしい曲ですので、歌手としてこの曲の世界を精一杯表現しなければと思っています。

――『寒流』の歌唱で大切にしていることは何でしょう。

制作に際し、ディレクターの方が“魂の叫び”とおっしゃったのですが、僕もこの表現がぴったりだと感じています。おじいちゃんの魂を僕の声に乗せて、叫びとして表現している部分もあります。

――カラオケで歌う際のポイントはありますか?

出だしは高音から始まる曲ですが、次はグッと低音に下がるんです。多分皆さん難しいところだと思いますが、そこをミスしないように気を付けて歌ってください。最後のクライマックスでは、“魂の叫び”を意識して感情を込めていただければ、気持ちよく歌えると思います。とても歌いがいのある曲だと思いますので、たくさん歌っていただきたいです。

――先日、テレビ番組で『寒流』を初歌唱したそうですが、周囲の反響やご自身での気づきなどはありましたか?

歌う前から自分自身でも期待して収録に臨み、聴いてくださった皆さんがいい曲だねと言っていただきました。ふだんの僕は収録後に必ず映像を確認して、自分の歌を聴き直すのですが、そのときはなぜか確認するのを忘れて帰ってしまいました。自分でも不思議なのですが、それだけ歌うことだけに集中していたのかもしれませんね。

トロットを意識した初の作曲作が完成

――Aタイプのカップリング曲『赤い雪』は、同じく水木先生が作詞、小田先生が作曲した作品(編曲:矢田部正)ですが、こちらは女歌。女性の情念がダイレクトに突き刺さってくるような迫力があります。

水木先生にうかがったのは、この歌の主人公の女性は雪に埋もれながら幸せそうに死んでいくイメージだそうです。最初は「えっ、雪に埋もれて死んでくのに、なんで幸せを感じているのだろう?」と思いましたが、改めて先生のことばに向き合うと、すごく深いなと感じるようになりました。

―― 一般的に雪のイメージカラーは白ですが、主人公は自分のことをサビで「赤い雪」になぞらえていて、他にも血、闇、黒揚羽(くろあげは)など赤と黒が連想されることばが散りばめられ、鮮烈な印象を残しますね。

なぜ「赤い雪」なのかも、先生にうかがいました。やっぱり雪は白いもの。「赤い雪」はこの世に存在しない。この女性の恋も同じで、この世には存在してはいけない、許されない恋をしているということを「赤い雪」と表現されているそうです。

――『赤い雪』の歌い方のポイントは?

この曲も「抱いて」と繰り返す出だしが大切です。息をたっぷり使って歌うようにして、ことばが包まれるような雰囲気を作っています。このようなバラード調の曲では、息の使い方がとても重要なんです。

――女歌を歌う難しさはありますか?

デビュー曲『愛・ケセラセラ』も女歌でしたが、最初はやはり難しさを感じたところもあります。主人公が男性だと、自分に置き換えて歌うこともできますが、女性が主人公の場合は、遠くからその女性を見守るように歌うことを今では心がけています。そのほうが皆さんに伝わりやすいのかなと思って。

――Bタイプのカップリング曲『愛が壊れた日』(作詞:紙中礼子 作曲:パク・ジュニョン、Siwoo、宇田川翔 編曲:宇田川翔、杉山ユカリ)は、ご自身が作曲に携わっていますね。

メロディーをつけてみました。韓国のトロット(韓国演歌)を日本でも歌ってみたかったので。ちょっとノリノリでダンスも入れられるような曲にトライしたかったんです。初めて作曲する機会もいただけて、うれしかったですね。自分が慣れている音域とメロディーで作っているので、自分の歌声に合っているのは間違いないです(笑)。

――サウンドはアップテンポ、パクさんの歌唱はまるでラップのようにことばを連射していく速度感もあり、他の曲とは明らかに違います。

違いますね。高音で、リズムも速いので、バンバンバンと乗りながら、勢いをつけて歌う感じです。

――トロットのような曲ということで、ハングルの歌詞のほうが歌が乗りやすかったりするのでしょうか。

実は最初はハングルで作って、後から紙中先生に日本語歌詞を書いていただいたんです。

――ハングルバージョンも聴いてみたいです。

ライブなどでご披露できる機会があれば、いつかやるかもしれませんね。『愛が壊れた日』はダンスもあるので、今振り付けを練習中です。歌詞の情報量も多く、ダンスも入るとなるとパフォーマンスは大変なのですが、すごくかっこいいダンスなので、ご期待ください。これからはダンスももう少し取り入れていこうと思っています。

アーティストグッズはいつもセルフプロデュース

――パクさんはブログをほぼ毎日更新されていますが、いつ書かれているのですか。母語ではない日本語で書かれるのもすごいと思います。

夜、1日の終わりに書いています。プライベートな時間に、その日にあったことを振り返りつつという感じです。毎日更新するようになったのは、コロナ禍で皆さんに直接会えなかったことがきっかけになりました。更新は大変ですが、楽しみにしてくださる方も今では大勢いらっしゃいますので。

――そのブログで、新しい公式ペンライト・ジュニーボンを紹介されていましたが、キラキラなジュエリー感もあってかわいらしいですね。アーティストグッズのデザインは、パクさんも意見を出すのですか?

アーティストグッズはデザインのアイデアやネーミングもすべて自分で考えています。次に出すとしたらチケットホルダーがいいなと思っています。ファンの方はご存じだと思いますが、コンサートなどのチケットのデザインも僕のアイデアなんですよ。クリエイティブな作業は楽しいですね。

――コーヒーがお好きということですが、豆の産地にこだわりがあったりするのでしょうか?

こだわりはないのですが、いろいろ試したくて、コロンビア、ブラジルなど毎回違う種類の豆を試しています。味比べをするのが楽しいです。そのうち本当に美味しかったというものが出てきたら、それだけにするかもしれませんが。

――逆にお酒は召し上がるのですか?

お酒は飲まないですね。韓国では結構飲んでいました。体調などによって飲みたいときもあれば、飲みたくないときもありますが、韓国では礼儀として酒席でお酒をすすめられたら飲まなければならない雰囲気が、日本より多少強いんです。だから来日後に飲まなくてもいいよと言われたのには、びっくりしました。できるだけ今の仕事に影響を与えたくないので、デビューしてからは、お酒は口にしないようにしています。

――歌のために体に気を使われているのですね。

食べるものも食事制限とまではいかないですが、20時以降は一切食べないように心がけています。

2024年は「青龍」のように昇りあがりたい

――以前のインタビューでしばらく韓国に帰っていないとうかがいましたが、コロナ禍も落ち着いてきて、帰国する機会はありましたか?

年明けに4年ぶりに韓国に帰国して、家族とも顔を合わせることができました。実は母が昨年10月に来日したので、母とは久々という感じではありませんでしたが。実家では母の手料理を食べ、皆でテレビを見てくつろぎました。うちの家族は全員無口で(笑)、最初バーッと喋ったあとは静かに過ごしていました。

――年の初めから里帰りもできた2024年。運命の曲『寒流』とともに、どのような年にしたいですか?

韓国にも干支がありまして、今年は青龍の年で、例年より縁起の良い年です。『寒流』の衣装も青ですし、僕も元気な青い龍のように昇りあがっていく年にしたいです。3月には、ファンの方と行くソウル・ツアーも行います。今年は皆さんに『寒流』を楽しんでいただきながら、一緒に良い1年にしていきたいですね。

パク・ジュニョン『寒流(かんりゅう)』ミュージックビデオ

パク・ジュニョン『寒流(かんりゅう)』

2024年2月28日発売
価格:¥1,500(税抜¥1,364)

Aタイプ

品番:KICM-31129

【収録曲】

1. 寒流
(作詩:水木れいじ/作曲:小田純平/編曲:杉山ユカリ)
2. 赤い雪
(作詩:水木れいじ/作曲:小田純平/編曲:矢田部 正)
3〜6. オリジナルカラオケ・一般用カラオケ

Bタイプ

品番:KICM-31130

【収録曲】

1. 寒
(作詩:水木れいじ/作曲:小田純平/編曲:杉山ユカリ)
2. 愛が壊れた日
(作詩:紙中礼子/作曲:パク・ジュニョン、Siwoo、宇田川 翔/編曲:宇田川 翔、杉山ユカリ)
3〜6. オリジナルカラオケ・一般用カラオケ

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