JLPGAがスロープレー撲滅へ罰金制度を導入 講習会は継続

スロープレーへの罰金制度導入を発表した小林浩美JLPGA会長 ※2019年撮影(撮影/塚田達也)

◇国内女子◇ダイキンオーキッドレディス 初日(29日)◇琉球GC(沖縄県)◇6595yd(パー72)

日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)がスロープレーに関する罰則を強化した。小林浩美会長、小田美岐副会長が開幕戦初日の公式会見で明らかにした。今季のレギュラーツアー、および下部ステップアップツアーで、年間の注意の数に応じて罰金(金額は以下)を科す。また、前年同様にシーズンで5回以上累積した選手には講習会の参加を義務付ける。

JLPGAは2012年、頻発するスロープレーに対しツアー独自の制度として「イエローカード」を導入した。設定されたプレータイムを超えた(アウトオブポジション)選手に対する注意の通達を、競技委員からの口頭ではなくカードを提示することでペースアップを促したが、「このところシード争いもすごく激しく、若い人が増えてきてプレーのペースについては速くなっている感じはない」(小田副会長)と目に見えた改善傾向がないという。

欧米ツアーのスロープレーに対する罰金制度に倣う格好。個人へのイエローカードと同様に、各ストロークの許容時間をオーバーした際の「バッドタイム」も罰金および累積対象になる。罰金額はレギュラーツアーでは累積2回目で10万円、3回目で20万円、4回目以降は50万円。下部ステップツアーはそれぞれ10分の1の額と定めた。

小田副会長は近年、野球で設けられている投手の投球間の時間制限(ピッチクロック)についても触れ、「ファンに支持されるためにももっとプレーのペースを考えなければいけない」と話した。

ゴルフ規則はプレーのペースについてルールを定めている。多くのツアーでは注意を促す警告後に改善が見られない場合は、規則(5.6a違反の罰)に従い最初の違反で1罰打、2回目で2罰打(一般の罰)、3回目で失格となる。JLPGAのイエローカードおよびバッドタイムごとに累積されるもので、1罰打を受けた選手は計2枚のカードを提示されたことになる。小田副会長によると2023年は「7枚、イエローをもらった人もいる」という。

ゴルフ規則5.6 不当の遅延;速やかなプレーのペース
5.6a プレーの不当の遅延
プレーヤーは、ホールのプレー中、またはホールとホールの間のいずれかでもプレーを不当に遅らせてはならない。(中略)
規則5.6aの違反の罰:
・最初の違反の罰:1罰打。
・2回目の違反の罰:一般の罰。
・3回目の違反の罰:失格。

2024 JLPGAプレーのペースに関する規則/競技委員会(抜粋)

2.特別な事情がないのに下記定義に該当する場合、その組はアウトオブポジション(その組が進行上の正しい位置から外れた状態)とみなされ、計測の対象となる。

(1) 最初の組がアウトオブポジションとみなされるのは委員会の設定したプレーのペースを超えた場合、または超えていると委員会が判断した場合。
(2) 後続組がアウトオブポジションとみなされるのは、下記の(a)と(b)の両方に該当した場合。
(a) 委員会が設定したプレーのペースを超えている場合。
(b) 前の組との間隔がスタート時の感覚より遅れている場合。

注2.特別な事情とは、例えば時間を要したルーリング・紛失球・アンプレヤブル・誤球などをいう。

3.イエローカードの提示

委員会がイエローカードを提示することにより、その組はアウトオブポジションになったことを知らされる。その後、委員会の判断によりその組は計測される。

4.計測

各ストロークに許容される時間は、40秒以内とし、タイムオーバーしたときバッドタイムとなる。ただし、以下の地点(※)から最初にストロークするプレーヤーに対して許容される時間は50秒以内とする。

※以下の地点
ティイングエリア、セカンド地点、サード地点、アプローチあるいはチップショット(グリーン周辺)、パッティンググリーン

5.罰則(ストロークプレー)

バッドタイム1回目=警告、2回目=1罰打、3回目=更に2罰打、4回目=失格
アウトオブポジションになり、計測されたタイムオーバーの回数は、その後、ペースが回復し、遅れを取り戻したとしてもそのラウンド中累積され、持ち越されるものとする。

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