中国初の「地上宇宙ステーション」、ハルビンで検収合格

中国初の「地上宇宙ステーション」、ハルビンで検収合格

27日、国家重要科学技術インフラプロジェクト「宇宙環境の地上シミュレーション装置」の検収会場。(ハルビン=新華社配信)

 【新華社ハルビン2月29日】中国黒竜江省のハルビン工業大学と中国の航空宇宙大手、中国航天科技集団が共同建設した宇宙環境の地上シミュレーション装置が27日、同省ハルビン市で検収に合格した。中国の宇宙分野で初めての「国家重要科学技術インフラ」となる。

 第12次5カ年規画(2011~15年)期間に建設を開始。「地上の宇宙ステーション」と呼ばれ、真空、高・低温、荷電粒子、電磁放射、宇宙塵(じん)、プラズマ、弱磁場、中性ガス、微小重力の宇宙環境をシミュレートできる。宇宙分野の重要な基礎科学技術の課題に焦点を当て、総合的な宇宙環境と宇宙船、生体とプラズマの相互作用の分野における大型研究拠点を構築することを目的とする。

 装置建設の常務副総指揮を務めるハルビン工業大学宇宙環境・物質科学研究院の李立毅(り・りつき)院長は「今後、宇宙まで行かなければできない多くの実験が地上でできるようになる」と説明。建設に当たっては自主イノベーションを堅持し、一連の主要技術でブレークスルーを成し遂げたと述べた。各システムは既に試験運用し、国内外の複数の利用団体にサービスを提供しているほか、中国の重要な宇宙ミッションの実施を支えているという。

 中国科学院院士(アカデミー会員)でハルビン工業大学学長の韓傑才(かん・けつさい)氏は装置について、中国の重要な科学技術イノベーションの躍進、産業構造の転換・高度化、高度人材の育成などに大きな意義を持つと指摘。同大は今後も装置の技術指標を継続的に最適化し、科学水準を向上させ、独自の知的財産権を持つ技術の形成を加速させることで、中国が宇宙大国から宇宙強国へと大きな飛躍を遂げるための新たな貢献を果たしていくと語った。

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