『ブギウギ』三浦獠太の起用理由は“昭和っぽさ”? タケシと重なる裏エピソード

NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。

制作統括の福岡利武が「第22週は世代交代の週」と語るように、愛助(水上恒司)の母であり、村山興業社長のトミ(小雪)の死をきっかけに、これまでスズ子と二人三脚で歩んできたマネージャーの山下(近藤芳正)が引退を宣言。第105話では、その甥である柴本タケシが新たにマネージャー業を引き継ぐという急展開を迎えた。

タケシを演じるのは三浦獠太。今回の役にはスズ子の弟・六郎役のオーディションへの参加を機に抜擢されたといい、福岡は「本当に明るくて、雑談でとても盛り上がったんですよね。そういった親しみやすさ、変にカッコつけない“まっすぐさ”が魅力だと思います。六郎はもう少し下の年齢を狙っていたので黒崎(煌代)さんにお願いしましたが、三浦さんも何かの役に起用したいと考えていました」と振り返る。

「台本に新しいマネージャーが登場したとき、まっすぐさが大事であると同時に、すごくお調子者なキャラクターとして描かれていたので、ぜひ三浦さんにお願いしたいなと。言葉にするのは難しいのですが、三浦さんには『“昭和っぽさ”もうまく出してもらえそうだな』と直感的に感じました」

現場では明るく、常に一生懸命だといい、福岡は「非常に礼儀正しくて、しっかりした好青年ですし、とても面白いんですよ。最初に“三浦温泉”と書かれた作務衣のようなものを着ていて、『そういうところでも働いてるの?』と聞いたら、『いや、あまりにも温泉が好きなので、温泉で働いている風のものを作ってみました』と言っていました(笑)」とほほえましいエピソードを明かす。

そんな三浦だが、撮影には途中参加、さらにはいち視聴者として『ブギウギ』を観ていたこともあり、初めは緊張感たっぷりに撮影に入ったそう。福岡は「タケシも新参者で、最初は緊張している状態なので、うまくリンクしてドラマ的にも面白く描けたのかなと思います」とし、「趣里さんとは事務所の先輩後輩でもありますし、タケシもスズ子からかわいがられる存在。ちょっと怒られるけれども、そこにはちゃんと愛がある。“見捨てない”というスズ子の性格を非常に上手く表現できたのではないかなと思います」と語る。

「タケシは調子に乗って、空回りしてしまうようなところもありますが、新しいメンバーとしてすごく魅力的です。三浦さんには、今後の成長を楽しみにできるキャラクターに演じていただけて、とても良かったなと思っています」

直接的にタケシのモデルとなる人物は実在しないが、福岡は「このくらいの時期に、笠置さんはたくさんの若い役者や歌手、スタッフの人の相談に乗っていらしたんです。タケシを通して、そういった“若い人たちに何かを働きかけるスズ子”が見せられるんじゃないかなと。その中で、“家族”がテーマのドラマでもありますし、マネージャーとして入ってくるのが一番象徴的に描けるのではないかと考えました」とキャラクター設定の狙いを明かす。

先述の通り、タケシの登場のきっかけとなったのはトミの死。ドラマとしての展開はもちろん、突然の“ナレ死”には驚かされたが、その意図について福岡は「トミさんが危篤の状態で駆けつけるかどうか、いろいろと議論しました。ですが、スズ子自身も忙しくしていましたし、『そういったことは言わないでくれ』というトミさんの気持ちもある。そこで、脚本の足立紳さん、櫻井剛さんともお話しして、“もうちょっと話したかった”というスズ子の思いを描くことにしました」と説明した。

第105話では、あろうことかスズ子の稽古中にマネージャーのタケシが居眠り。「やる気あんのか?」と一喝したスズ子が、ここからどうタケシを導いていくのか楽しみだ。

(文=nakamura omame)

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