InstagramやSnapchatなど、さまざまな写真投稿アプリが誕生する昨今。「映え」や「盛れる」などの言葉が多く使われていたのも、これらのアプリ誕生が大きく影響しています。しかし一方で「写るんです」や「証明写真」ブームなど、加工なしの「ありのままの自分」を映し出す文化も同時期に生まれており、どちらにも魅力があるとしてZ世代ならではのルールで使い分けられています。
そんな“ありのまま文化”から誕生したアプリの一つに「Be Real(ビーリアル)」があります。いま自分が何をしているのか、加工なしでリアルタイムの風景をシェアするSNSアプリです。
不規則なタイミングでアプリから通知が届き「2分以内に写真を撮影し投稿しなければならない」「加工はできない」など、さまざまなルールが設けられています。写真投稿アプリの中でも複数のルールに従う必要があることが特徴なのですが、制限があるにもかかわらず若者のスマホにはマストで入っているそうでZ世代向け流行語にもノミネートされました。なぜそのような人気があるのか、実際同アプリを使用している20代前半のユーザーであるAさんとRさんに話を聞きました。
――いつから「BeReal」を使用していますか?
【Rさん】僕は2022年の12月から始めました。バイト先の人に教えてもらって入りましたね。流行り出したのはここ半年だと思います。
【Aさん】私も2022年の年末に友達の紹介で始めました。BeRealは紹介制ではないのですが、誰かを誘ってアプリをインストールするのが主流なんです。もちろん1人でも使用できるんですけど友達の投稿を見ることが醍醐味なので、紹介されてインストールする人が多いですね。
――加工なし、時間の制限がある……などさまざまなルールが設けられていますが、面倒に思ったりはしないですか?
【Rさん】実は通知が来てもその場ですぐに撮る必要はなくて。「何分遅れで投稿」というメッセージが他ユーザーに表示されるものの、投稿することはできます。実際僕の周りも時間を守っている人は少ないです。ただ、自分の写真を投稿しないと、友達の投稿が見れないので遅れてもついつい載せてしまいますね。
――どんなことを投稿していますか?
【Aさん】私は本当にどうでも良いことを挙げています。例えば朝起きてすぐに通知が来たら、パジャマのままでその場でパシャっと撮ってしまいます。しかも内カメラと外カメラ同時に起動するんで、ごまかしがきかないんです。BeRealはこれまでの写真投稿アプリとは真反対。加工もフィルターもない状態で投稿するんですが、不思議なことに全然苦痛じゃなありません。気取らず投稿できるのも特徴かと思います。
【Rさん】実は僕は最近あまり投稿していなくて(笑)。コロナ禍だった頃や、家にこもって勉強する時期はよく投稿していたんですが最近は友達と遊んでばかりなので投稿は滞っています。
【Aさん】それはわたしも思います。忙しい人ほど脱落する印象です。BeRealってインスタグラムとは反対で、ありのままの日常をそのまま投稿するので「友達と遊びに行きました!」みたいなキラキラした投稿とは正反対なんです。イベントごとがあったら「インスタ」、日常は「Be Real」って棲み分けしている人が多いですね。だらだら家にいるときのすっぴんで投稿したり、寝起きで投稿したりなどが必然的に多いのが後者ですね。周りも1人で真顔で撮っている人も多いですよ。
――Be Realの魅力とは?
【Rさん】インスタグラムと違って、自分の投稿をあげないと友達の投稿が見られない所にハマるのではないかと。「みんな今なにしてるんやろ〜」と思いながら、覗き見している気分になります。
【Aさん】日記の代わりに付けられるところだと思います。BeRealは過去の投稿も見返すことができるので「この日の自分、こんなん食べてたんだ」「こんな格好してたんだ」など、加工なしのありのままの状況を思い出すことができます。「文章を書かなくてもいい日記」がこのアプリのいいところだと思いますね。
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「映えない・盛れない」からこそ「ありのまま」で居られる……と2人は語っていました。このように、多彩な価値観の広がりを見せてくれる若者たちのSNS文化。今後どうなっていくのか楽しみですね!
(取材・文=弘松メイ)
※ラジオ関西『Clip』2024年2月29日放送回より