白銀の世界と絶品フレンチ。青森・奥入瀬渓流で冬のおこもり大人旅

暮らしニスタで好評連載中の旅シリーズ、次の目的地は青森県。冬シーズンの青森は、どこもかしこも雪景色に包まれています。寒い時期はあえて寒い方角へ!とはいえハードなアクティビティには目もくれず、ホテルでぬくぬくプチラグジュアリーな滞在です♡これぞ、大人の特権。今回訪れたのは青森県の星野リゾート 奥入瀬渓流ホテルです。

癒やしを求めて青森へ。何もせずゆっくりしたい

奥入瀬渓流ホテルは、青森県十和田市にあるリゾートホテル。

十和田湖から流れ出る奥入瀬川の上流14キロメートルが奥入瀬渓流と呼ばれていますが、その渓流沿いに建つ唯一のホテルです。

アクセスは電車なら青森駅か八戸駅が最寄り駅。それぞれ無料送迎バスが出ています(4月1日から11月10日までは新青森駅からも送迎あり)。飛行機の場合は青森空港からレンタカーで約80分です。

奥入瀬渓流ホテル。その名から想像できるように、とにかく絶景!です。

春夏は新緑、秋は紅葉、そして冬は雪景色。それぞれの季節で違った風景を楽しめます。暮らしにスタ編集部が訪れたのは12月。まさに白銀の世界。例年3月ごろまで真っ白な景色に包まれています。

今回の旅の目的は、疑いようもなく癒やし。自然の中に身を置いてリラックスしたい。そしておいしいものを食べたい! 編集部スタッフは、仕事なのかプライベートなのか線引きを(あえて)あいまいにしつつ奥入瀬渓流まで訪れたのでした。

苔に包まれるスイートルーム。雪景色の客室温泉まである

今回の客室は、なんと1日1組限定のラグジュアリールーム。苔づくしの、苔スイートルームです。

奥入瀬渓流は国の特別名勝、天然記念物、国立公園の特別保護地区に指定されていて、日本で約1800種類ある苔のうち300種類以上がここで生息しているそう。

それにちなんだスペシャルな客室で、設備やインテリアのあちこちに苔が使われているんです。

バスルームの壁面に苔。そしてタオルやバスローブも苔カラーで統一されていてさすがです。

ガラスの下にはめ込まれている苔や壁面の苔たちは、いわゆる仮死状態なんだそうです。水やりも不要とのこと。

客室には生き生きした苔たちもディスプレイ。

これは苔玉。コロコロしていてかわいい…。小さな植物の根を土で丸く包み、苔を貼りつけたものです。館内では苔玉づくりのワークショップ(有料)も開催しているので、手づくりのマイ苔玉を持ち帰るのもいいかも!

苔スイートルームは客室温泉つきです

広いです。

そしてトポトポと流れるお湯の音、これがまたいい。

外はもちろん絶景。すぐ外に渓流が見えます。緑の時期や紅葉シーズンも気持ちよさそう…。あぁ、もうここに住みたい。

フロント階のパブリックスペースには、岡本太郎作品が。ロビーに設置された大暖炉「森の神話」は、高さ8.5メートルで圧巻!

暖炉のまわりでくつろぎ、ウェルカムドリンク(泡や日本酒もあります)をいただく…。客室もいいけれど、このロビーは幸せの空間です。スタッフも、取材の合間は必ずここに立ち寄ってブレイクするほどお気に入りでした。

館内には渓流-BASEというパブリックエリアにもうひとつ、岡本太郎作品(遺作 大暖炉「河神」)があるのでこちらも要チェックです。

青森×フレンチ。星野リゾートの施設で一番おいしいかも

旅のお楽しみはなんといっても夕食です。奥入瀬渓流ホテルにはレストランが2つありますが、今回はフレンチレストランのSonore(ソノール)へ。

青森でフレンチ?と思うなかれ。じつは私たち、料理業界のとある著名人から「星野リゾートの数ある施設の中で美味しくて一番お気に入り!」という前情報をゲット。期待に胸を大きく膨らませて訪れています。

結果、それが見事に証明されたディナーだったのでした。

アペリティフは流沿いのアウトドアドーム席で。このドーム席、冬シーズンは寒くて耐えられないかも?と思うかもしれませんが、防寒着・暖房完全完備なのでご安心を。

クロケットやハム、イガメンチをフレンチ流にアレンジした一品など手の込んだアミューズが並びます。

合わせるのはもちろん極上のシャンパーニュ!

その後は室内に戻り、9品のコース料理がスタートです。

メニューはいたってシンプル。素材名だけが書かれていて期待感をあおります。

冷前菜の藁焼き鮪。シェリー酒や紹興酒を思わせるヴァンジョーヌソースでコクを出しています。合わせた長芋はダイスカットと花びらスライス、2種類の食感でますます楽しい!

冬に2回目の旬を迎える帆立貝。キャベツのピューレ、ハーブの香り豊かなマリニエールソースを合わせて。素材の甘みと香りを存分に味わうことができました!

どの料理も青森県の食材や技法が生かされていて、まさに青森でしか食べられないフレンチ。さらにスタッフが悶絶したのが自家製パン。

テーブルごとにひとつずつ鍋で焼いているそうです。使用しているのは天然りんご酵母。焼きたてが運ばれると、切り分けられたぶんが秒で口の中へと消えました。

おかわりしたいけど、お腹が膨れてこの後の料理に響くかもしれない。でもおかわりしたい…。本能に従い、おかわりを所望!

フカヒレ、蟹、郷土料理のじゃっぱ汁をアレンジした鱈と続き、メインの牛へ。デザートまでしっかり完食。それぞれにワインをペアリングし、2時間ほどかけてじっくりいただきました。

ワインもひとつひとつ合わせる意味がちゃんとあって、ソムリエの解説にウンウンと頷き、納得して一口。さらに一口。

以前、星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳でワインづくしの旅をしてきた私たち。今回も、ワインがますます好きになるペアリングをいただきました。

それにしても、青森でこれほどこだわったフレンチがいただけるとは。Sonoreでごはんを食べるためだけに青森に来てもいい…!

暖炉のパチパチという音をBGMに、ありのままの自然をただ眺め、ワインを飲む青森旅。チェックインと同時にホテルにINして、次の日は夕方までここで過ごしたい。

どこにも観光に出かけないほうが、旅の満足度は高いのでは?と思う良質ホテルでした。

今回「暮らしニスタ」が訪れたのは 「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」

住所/青森県十和田市大字奥瀬字栃久保231
TEL/予約050-3134-8094(9:30AM〜6:00PM)
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/oirasekeiryu/

撮影/瀬津貴裕(biswa.) 取材・文/佐藤望美

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