老後の「2000万円」問題。実際、定年退職後にそれだけの貯蓄がある世帯はどれだけ存在するの?

老後2000万円問題とは

老後に2000万円が足りなくなるといった試算が、テレビやインターネット上でも話題となった、いわゆる老後2000万円問題です。これは、定年退職後の夫婦のみの世帯において、年金以外の収入がない場合、20年間で1300万円ほど、30年間で2000万円ほど足りないという試算にもとづいています。

世帯の年金額も支出額も平均的である場合、毎月5.5万円ほどが不足しますが、2000万円足りなくなるというのは、そうしたデータをもとにした試算です。亡くなるまでの年齢や生活水準、収入などには個人差や世帯差があるため、すべての人に当てはまるわけではありません。

65歳以上の世帯の貯蓄はどれくらい?

総務省統計局の実施している「家計調査」では、世帯属性別の貯蓄状況を公表しています。2022年の調査結果によると、世帯主が65歳以上の世帯において、貯蓄残高が4000万円以上ある世帯の割合は17.9%でした。

3000万円以上4000万円未満の世帯は10.0%、2500万円以上3000万円未満は6.3%、2000万円以上2500万円未満は8.3%です。これらから、世帯主が65歳以上の世帯のうち、2000万円以上の貯蓄のある世帯は、42.5%となります。

ちなみに、世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄額の平均は2414万円、中央値は1677万円でした。

老後に向けて取り組んでおきたいこと

多くの人は、定年退職を迎えたあとも、しばらくは生活していかなければいけません。ここでは、老後に向けて取り組んでおきたいことをいくつか紹介しましょう。

・人生のシナリオを描いておく
現在から老後に向けて、人生のシナリオを描いておきましょう。よいシナリオと悪いシナリオを描き、さまざまな状況に対応できる視野の広さを持っておくのが最大の目的です。お金についても考え、年齢に応じて必要な金額をイメージしておきます。それに沿って、仕事やお金の使い方を考え直してみるのがポイントです。

・預貯金を積極的に行う
預貯金がなければ、安心して老後は迎えられません。年齢にかかわらず預貯金は始められます、老後資金のための口座を新たに開設するのもよいでしょう。

・投資を検討する
年齢にもよりますが、投資も検討する価値があります。NISAなどの制度も利用し、年齢や資金に合わせてポートフォリオを組んでみましょう。投資は時間と複利を味方につけてお金を増やすのが基本的な考え方です。早めに始めるに越したことはありません。

定年退職後に2000万円以上の貯蓄がある世帯は意外と多い

世帯主が65歳以上の世帯の40%以上が、2000万円以上を貯蓄しているというデータがあります。意外と多いと感じる人もいるでしょう。しかし、半分以上の人が2000万円を下回っているのも事実です。

老後2000万円問題が現実のものとならないために、早めに対策するのが重要です。人生のシナリオを描き、どのような状況にも対応できるようにしておきましょう。

出典

総務省統計局 家計調査報告(貯蓄・負債編)-2022年(令和4年)平均結果-(二人以上の世帯) 世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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