いよいよ3月9〜10日に迫った2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕。前年王者こそ不在ではあるものの、FIA F2王者から“現役女子高生ドライバー”まで、話題の注目ルーキーが参戦するほか、メーカー・チームを移籍したドライバーも多い。また、共通ダンパーが導入されることなどにより、これまでの勢力図が動く予感も漂う注目のシーズンとなりそうだ。
ここでは2月21〜22日に鈴鹿サーキットで開催された公式合同テストを前にした『メディアデー』でのドライバー・監督らの発言をもとに、今季体制の変更点や注目ポイントなどをチームごとにまとめ、連載していく。
今回は山下健太、小高一斗を擁して2024シーズンに臨むKONDO RACINGだ。
■KONDO RACING 2024年スーパーフォーミュラ参戦体制
・ドライバー：山下健太（No.3）／小高一斗（No.4）
・監督：近藤真彦
・エンジニア：村田卓児（No.3）／阿部和也（No.4）
・エンジン：トヨタ／TRD 01F
公式サイト：
https://kondo-racing.jp/
■ダンパー共通化は追い風？ 「いつもと違うシーズン」に期待する山下
JRP日本レースプロモーションの会長も務める近藤真彦監督が率いるKONDO RACING。スーパーフォーミュラへの参戦体制は昨年から変更はなく、ドライバー・エンジニアともに2023年同様のラインアップとなる。
昨年は第2戦富士で久しぶりの表彰台を獲得した山下だが「結局、昨年は開幕大会がベストリザルトになって、レースを追うごとに調子が悪くなってしまった」と2023シーズンを振り返る。
ただ、2024年に向けては少なからず手応えを感じているようで「今年からダンパーが共通になって、（みんなが）同じになった状態での（昨年12月の）ルーキーテストでは常に上位にいるパフォーマンスがありました」という。
「ただ、テストの時に速くても（シーズンが始まると）遅くなるというのを何回も経験してきているので、今年も簡単にいくとは思っていないです。ただ、チャンスは昨年よりはあるのではないかなと……なんとなくですけど、テストの雰囲気とかトップとの差を見ていると、いつもと違うシーズンになるのではないかなと思っています」
「僕も8年目で経験も積んでいますし、しっかりとチャンピオン争いをしたいなと思っています」
一方、昨年は第7戦もてぎでの6位が最上位となった小高。「昨年のシーズンを振り返ると、良かった時もありますが、基本的に調子があまり良くないレースが続きました。その中でも良かった時のことをしっかりと分析していますけど、何が良かったのかもよく分からないですし、例えば同じ鈴鹿サーキットでも、第3戦と最終戦では全然違う感じでした。特に最終戦で少し寒い状態になると、うまく走れていなかったです」と、比較的寒いコンディションでパフォーマンスを引き出せなかったという課題が残ったようだ。
昨年末の合同テストから共通ダンパーに変わってチームメイトの山下は好感触を得ているものの「走り出しからうまく走れず、順位も下の方に沈んでしまいました。今年も開幕前に1回しかテストないので、自分がもう少し戦える状態になってくれればいいなと思います」と小高。シーズン開幕までに良いきっかけをつかみたいところだ。
今シーズン、各チームで合わせ込みが急務となっている共通ダンパーについて3号車担当の村田エンジニアは「『こちらが求める減衰力をいかに発生させるか？』というところでは、ある程度はアジャストできる部分はあります。今まで自分たちが使っていたものとは、その辺の癖が多少違いますけど、その中で良い方向性が見えた部分もあるし、逆に少し納得のいかない部分もみたいなところもあります。ただ、全車一緒ということで、我々としてはアジャストできる範囲でうまく車両に合わせていくことはできるかなと思っています」と、比較的前向きな様子だ。
■近藤真彦監督は「常に的確なアドバイスをくれる」
KONDO RACINGといえばチームを率いる近藤真彦監督。歌手であり、レーシングドライバーとしても活躍し、現在は日本レースプロモーションの会長としてスーパーフォーミュラはもちろん、モータースポーツを盛り上げるべく尽力している。所属ドライバーのふたりからみた近藤監督の印象はどんなものなのだろうか。
山下は「僕はKONDO RACINGに入って8年目になりますが、この前、初めてライブに連れていってもらって『スゴイな！』と思いました」と最近のエピソードを披露。近藤監督への信頼は厚い様子だ。
「やっぱり監督自身がドライバーをしていたこともあって、自分たちのことをすごく分かってくれているっていうのが第一としてあります。レース中とかに、そこまで深く（僕たちの会話に）入ってこないというのは、監督自身が気を遣ってくれているのか、『もし自分がドライバーだったら』ということを考えてくれているのだと思います。ドライバーに対しては『ここは頑張れ！』という時には、ちゃんと無線をくれるし、ここで無線を飛ばさない方が良いだろうなという……そういう判断もすごくやってくれています」
一方「（都合が合わず）僕はそのライブに行けなかったんですけど（苦笑）」と語る小高も、同じようにドライバー目線になってコミュニケーションをとってくれるところに、やりやすさを感じているようだ。
「山下選手も言ったように、監督は元ドライバーという部分で、僕たちの気持ちを分かってくれている部分があって、ドライバー目線でいろいろと話をしてくれます。乗っていた経験があるからこその声の掛け方をしてくれるので、僕たちからすると落ち込んだり嬉しかったりする時がありますけど、常に的確なアドバイスをくれます」
昨シーズンはチームランキング6位に終わったKONDO RACING。共通ダンパー導入で流れをつかみつつある山下はこの取材後のテスト最終日にはトップタイムも記録している。その流れにうまく乗って小高も追いついてくることができれば、毎回上位争いに食い込む存在になるかもしれない。
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