[モスクワ 29日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は29日、議会で年次教書演説を行い、内政干渉を許さないと表明。北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに軍隊を派遣すれば核戦争のリスクがあると警告し、ロシアが西側の標的を攻撃する武器を有すると主張した。
西側がロシアを内部から破壊しようとしていると改めて非難し、ほとんどの国民がウクライナに対する「特別軍事作戦」を支持していると主張した。
核を巡る戦略的安定について米国と対話する用意があるとも述べたが、ロシアを話し合いに強制的に引き込もうとするいかなる試みも拒否すると強調。
ウクライナでの戦闘を巡っては、ロシアは極超音速ミサイル「ツィルコン」を含む高度な兵器システムを使用しているとし、軍事的優位に立っていると述べた。
フランスのマクロン大統領は今週、欧米諸国によるウクライナ派兵に言及した。ただ米国や欧州主要国はその可能性を否定している。
プーチン大統領は「戦略核戦力は完全な準備態勢にある」と言明。
その上で、ロシアが西側の標的を攻撃できる武器を持っていることを認識すべきとし、「核兵器が使用され、文明が破壊されるかもしれない。それがわからないのか」と西側を非難。ロシアの核兵器は近代化され、世界最大だと主張した。
かつてロシア侵攻を図り失敗したヒトラーやナポレオンがたどった運命を西側政治家は想起すべきとし、戦争を漫画だと思っているようだが「今回の結果はもっと悲劇的になる」と警告した。
またロシア軍は現在、ウクライナの戦闘地域で主導権を握り前進しているとし、NATO拡大を踏まえて欧州連合(EU)との国境沿いに配備している部隊の増強が必要と述べた。
ロシア軍がウクライナを越えて欧州を攻撃する可能性が西側で示されていることについては「ナンセンス」と一蹴した。