岸田首相が出席政倫審委員会室に安倍晋三元首相の肖像画 野田佳彦氏「天上から見てる人たちにも申し訳なかった」

立憲民主党の野田佳彦元首相(66)が29日、国会内で岸田文雄首相(66)が出席した衆院政治倫理審査会後に記者団の取材に応じ「答弁もほとんど、予算委員会と同じような話。弁明を聞いても何か新しいものはないし、要はポーズをやっているだけ。率先垂範(そっせんすいはん)だと思いますね。予想通りというか、報告書をなぞるだけで、それ以上のことは何もなかった」と批判した。

野田氏は「あの部屋で総理を目の当たりにして、質疑をするというのはものすごい違和感があった。違和感があるままに22分間やったなという感じ」と振り返った。「最後は弁明の中で、予算が日程通りうんぬんとかね…書いてあったですよ。そこに魂胆があるんだと思いますよ」と続けた。

岸田首相が指導力を発揮していれば、総理自ら政倫審に出席するような奇策を打たなくてよかったと強調した野田氏は「内閣総理大臣が、疑惑を持たれた議員が弁明するための場に出てくる。史上初めてですけど、当たり前ですよ。そんなことあっちゃいけないんですよ。あってはいけないことを局面打開のためにやらざるを得ないということに違和感」と、違和感の中身を説明した。

衆院予算委員会で、政治資金パーティーを「勉強会」と答弁したことを批判した野田氏。政倫審では「首相としてパーティーを開催することは今は考えていない。結果的に在任中はやることはないと考えている」との答弁を引き出した。

野田氏は「総理になったら(パーティーを)やめなきゃいけない。そんなお金が儲かる勉強会だったら私だってやっちゃいます…ガリ勉になっちゃいますよ。勉強が好きなんじゃない、金が好きなんですよ。これは早くやめさせなきゃという思いで、しつこくやって、やっといやいや認めたと」と評した。

政倫審が開かれた衆院第5委員会室は、裏金還流の中止を指示したとされる安倍晋三元首相の肖像画が飾られている。「いろいろ思うところもありましたし、そこで私が岸田さんとこうやって対峙しなきゃいけないっていうのも不思議な感じ。きょうのこの短い時間で解明できなかったことは、天上から見てる人たちにも申し訳なかったと。短い時間でちょっと残念だったと思います」としみじみ話した。

(よろず~ニュース・杉田 康人)

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