【アメリカ大学野球の名門②ヴァンダービルト大】MLBドラフト1位指名の常連校は超エリート軍団

花巻東高校の佐々木麟太郎がスタンフォード大学への留学を決め、注目が集まっているアメリカの大学野球。「南部のハーバード」と称されるほどのエリート校でありながら、メジャーリーガーを多く輩出しているのがヴァンダービルト大学だ。

佐々木麟太郎が施設見学に訪れた大学の1つが、アメリカ・テネシー州ナッシュビルの中心地に存在するヴァンダービルト大学だ。1873年に創立した同大は全米で最も競争率の高い大学の1つと言われ、卒業生には様々な有力政治家をはじめ、ノーベル賞受賞者も複数輩出しているエリート校だ。野球部の「コモドアーズ」は1886年に発足し、多くのメジャーリーガーを輩出。2011年に初めてカレッジ・ワールドシリーズに出場すると、2014年には初優勝を飾っている。

卒業生を代表するメジャーリーガーの1人が、2012年に最多勝と最優秀防御率の二冠を達成してサイ・ヤング賞も受賞したデービッド・プライスだ。

2004年のドラフト18巡目でドジャースに指名されるも契約せず、奨学金を受けてヴァンダービルト大に進学。3年時には133回1/3を投げて11勝1敗、防御率2.63、奪三振194など活躍し、2007年のドラフト1巡目(全体1位)指名でデビルレイズ(現レイズ)に指名されて入団。同大出身のメジャーリーガーで歴代2位となる157勝を挙げ、同最多の奪三振2076を記録したレジェンドだ。

翌2008年のドラフト1巡目(全体2位)にパイレーツから指名されたのは、同大史上最多のメジャー通算162本塁打を放ったペドロ・アルバレスだ。

アルバレスも2005年ドラフトでレッドソックスから14巡目に指名されたが契約せずにヴァンダービルト大へ進学した。メジャーではパイレーツ、オリオールズでプレーし、2013年にはオールスター・ゲームに選出され、本塁打王とシルバースラッガー賞(三塁手)を受賞した。

現役では、ツインズからFAとなり、今季からカージナルスでプレーするソニー・グレイも卒業生の1人だ。

グレイも2008年のドラフトでカブスから27巡目指名を受けるも、ヴァンダービルト大進学を選択。2010年にはアメリカ代表として、日本で行われた世界大学野球選手権大会に参加し、2011年には同大初のカレッジ・ワールドシリーズ進出に貢献した。同年ドラフト1巡目(全体18位)でアスレチックスから指名されて入団。これまでの11年間でオールスター・ゲームに3回出場し、同大出身歴代4位の98勝、同3位の1521奪三振を記録している。

そのグレイと大学でチームメイトだったのが、カブスに所属するダンズビー・スワンソンだ。

2023年に2年連続でゴールドグラブ賞(遊撃手部門)を受賞した名手も、2012年ドラフトでロッキーズから38巡目に指名されるが同大に進学し、2015年ドラフトでダイヤモンドバックスから1巡目(全体1位)指名を受けてプロの道に進んだ。

これまでヴァンダービルト大学が輩出したメジャーリーガーは50人を超え、今後も名選手が生まれてくるだろう。そして、プライスからの250万ドルの寄付がきっかけで、2018年に野球専用施設を総工費1300万ドルかけて改装したように、卒業生の力でさらにチームは強くなろうとしている。現代のMLBを語るうえで欠かすことのできない名門ヴァンダービルト大学。偉大な卒業生たちのあとを追って、次はどんなスターが出てくるのだろうか。楽しみで仕方がない。

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