“店舗で注文→自宅に届く”過疎と高齢化の町に“オンライン”薬局がやってきた!住民「買いだめしなくても良くなる」

高齢化が進む過疎の町に、薬のオンラインショップが誕生しました。薬局がなくなった地域で、必要な人たちに薬を届けたいとドラッグストアが立ち上げた店舗は、住民たちの悩みを解消する新たな取り組みです。

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2月16日、浜松市天竜区水窪町に誕生したのは、浜松市に本社を置くドラッグストア「杏林堂薬局」のオンラインショップです。

<竹山豊子さん(82)>
「軟膏と葛根湯を買った。助かる。簡単に買えるもんね」

この店ではまず、タッチパネルを使ってほしい商品を選びます。選んだ商品は紙に印刷され、必要な情報を書き込み、杏林堂薬局本社に送信することで注文は完了。最短3日で自宅に薬が届き、代引きで支払う仕組みです。

<柳田幸子さん(70)>
「今までのことを思うと。(これから)そんなにもう買いだめしなくても良くなる。玄関先に届くのも魅力的ですよね」

山あいにある水窪町。人口は1,700人を切り、過疎と高齢化が進んでいます。

<住民(80代)>
「薬局が何軒かあったけど、だんだん閉店していって、去年あたりかな(最後の)薬局もやめちゃったの。ちょっとしたものを欲しくても、行かにゃいかんもん、向こうへ」

地域で唯一の薬局は2年前、薬剤師が亡くなり、業態が変わりました。最寄りのドラッグストアに行くには、車で片道1時間以上、山道を走らなくてはなりません。高齢化が進む中、車を使った移動もリスクが高まっていて、住民の悩みは深まるばかりでした。この状況を打破するために立ち上がったのが杏林堂薬局です。

<杏林堂薬局健康医療ネットワーク推進部 飯塚英人部長>
「地元密着のドラッグストアとして、水窪町の住民の方が『自分で』お薬を選んで買えるようにするっていうのが一番の目的です」

杏林堂薬局は、浜松市に本社があり、水窪の住民にとっても「なじみの店」です。
他のオンラインショップよりも、住民にとっては安心感があります。

また、杏林堂薬局は地域の人たちがよく購入する医薬品などのデータを蓄積していてオンラインショップでは高齢者のニーズに併せたおよそ200種類の商品を揃えました。

販売所を設置することで、近所の人たちと楽しみながら買い物ができることも高齢者の顧客には必要なことだと、杏林堂薬局は考えているそうです。

<熊崎秀子さん(82)>
「これから楽しみになるね。(モニターの操作は)難しくないと思う、私はスマホとパソコンやってるもんで。もうばっちしです」

オンラインショップは、店舗の建設費が安く済み、在庫の確保や管理が必要ないというメリットもあるといいます。こうした販売方式は、全国のスーパーや買い物難民の多い地域で導入が始まっていますが、静岡県内では初めてです。

<杏林堂薬局健康医療ネットワーク推進部 飯塚英人部長>
「(品目を)増やしていって、欲しいものが買える状態をまずは作っていきたいと思っています。個々がうまくいくようならば、他の困っている地域にも展開していきたい」

過疎の街を救うデジタルサービス。高齢者の暮らしが変わろうとしています。

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