側溝の金網が次々盗まれる…愛知県一宮市では2024年に入り245枚が盗難 金属価格上昇で転売に拍車か

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道路脇の溝などに設置されている金網「グレーチング」。今、一宮市で盗難が相次いでいます。業界関係者は、悪質な買い取り業者の存在を示唆しています。

一宮市内にある人気のない道路。脇にはカラーコーンがたくさん並んでいます。

記者:
「今、カラーコーンがたくさん置いてありますけど、これはどうしてですか?」

一宮市建設部維持課 永田卓寛課長補佐:
「グレーチングという鉄製のふたが盗まれた。応急的にカラーコーンを置いている」

ふたがないことによる転落を防止する為に、1つ1つの穴に目印としてカラーコーンを設置していました。本来置かれているはずのグレーチング、重量は20キロから、重いものになると60キロにもなります。

一宮市では2023年、グレーチングの盗難はありませんでしたが、2024年はすでに245枚盗まれたことが分かっていて、被害額は約700万円に達します。

一宮市建設部維持課 永田卓寛課長補佐:
「一宮市は高速道路が近い、インターチェンジの近く、田んぼや畑、人目のつかないところが狙われている」

2月23日には名古屋市港区で、グレーチング10枚を盗んだとして、一宮市に住む会社員・丹羽亜希良容疑者が逮捕されました。警察は一宮市で起きた盗難事件との関連性についても調べを進めています。

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鉄スクラップの炉前価格推移(日本鉄鋼協会)

グレーチングの盗難について、業界団体では次のように指摘します。

鋼製グレーチング工業会 土井正夫代表理事:
「転用して使えない、リサイクルでも使えない。どこかに売っている」

つまり転売目的での盗難です。

鋼製グレーチング工業会 土井代表理事:
「(業者も)盗難品は引き取らないが、引き取る会社、悪質なところがあるかも」

鉄くず、いわゆる鉄スクラップの価格は円安や需要増加の影響で急上昇し、現在も高水準で推移しています。

鋼製グレーチング工業会 土井代表理事:
「鉄スクラップの買取価格が高騰している。今、1トンあたり5万円くらいになっている。そこらへんが影響している」

市章をつけて対策するが盗まれている

一宮市では盗難防止の対策も行っています。2014年、一宮市で約20枚のグレーチングが盗まれました。これを受け、市はグレーチングの中央に市章を付けるなどしました。市の所有物だと明らかにすることで転売を防ぐ狙いです。

しかし…。

一宮市建設部維持課 永田卓寛課長補佐:
「この状態で盗まれている。買い取り業者も身分証明書等確認すると聞いているので、一般的な買い取り業者ではない。別のルートがあるのか」

実際に金属スクラップの買い取り業者にも話を聞きました。

キンテック 飯塚詩博社長:
「2~3枚、定期的に持ってくれば注意はするが、盗む人はいろんなところで売るので僕らも分かりにくい。他の鉄くずなどに混ざって持ってこられたら分からない」

一宮市はパトロールを強化するとともに、今後、新たにグレーチングを設置する際には、盗難防止の金具を取り付けるなどの対策を取る方針です。

一宮市建設部維持課 永田卓寛課長補佐:
「盗難直後は、ふたがなく危険。ふたがないのを見つけたら、市役所に連絡してほしい。不審な車、人物を見つけたら警察に連絡してほしい」

市の担当者などによりますと、グレーチングが盗まれていること自体に気付かない場合も多いということで、今わかっている事案も氷山の一角の可能性があるということです。

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