高卒の友人が「一括払い」で車を買っていました。こちらは大学を卒業したばかりですが、選択を誤ったでしょうか……。

学歴別の月収や生涯賃金

高卒と大卒では、月収や生涯賃金でどの程度の違いがあるのでしょうか。ここでは、学歴別の平均月収や生涯賃金の目安をみてみましょう。

・学歴別の平均月収
まずは厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」から、学歴別の平均月収をみてみます。学校を卒業してからすぐに就職した場合、高卒者は大卒者よりも早くに給与を受け取れるのが一般的です。

この調査結果によると、高卒者の場合、19歳までの平均月収は、約18万5000円です。大卒の新社会人と同程度の年齢層となる20〜24歳の平均月収は、約20万5000円です。そこから、年齢が上がるごとに平均月収も増えていきます。ピークは55〜59歳で、この年齢層の高卒者の平均月収は約31万4000円でした。高卒者の場合、全年齢階級の平均月収は、約27万4000円です。

一方の大卒者は、初めて給与を受け取るのは一般的に22〜23歳あたりですが、同調査結果によると、20〜24歳の平均月収は、約23万4000円でした。高卒者と同様に、そこから年齢が上がるごとに平均月収も増えていきます。

ピークを迎える年齢も同様で55〜59歳ですが、この年齢層における大卒者の平均月収は約49万1000円でした。大卒者の場合、全年齢階級の平均月収は、約36万3000円となっています。

・学歴別の生涯賃金の目安
社会人が、生涯にわたって得る賃金を生涯賃金と表現することがあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2023」によると、高卒者の生涯賃金の目安は、男性で2億300万円、女性で1億4920万円となっています。一方の大卒者の生涯賃金の目安は、男性で2億4740万円、女性で1億9800万円です。いずれも、退職金を含まない金額です。

企業規模が変わっても、傾向としては変わりません。企業規模が大きくなるほどに生涯賃金が上がる傾向はありますが、高卒者よりも大卒者のほうが男女ともに生涯賃金が高くなっている点は同様です。

学歴によって異なる失業率

「ユースフル労働統計2023」の調査によると、失業率にも学歴によって差がみられることが指摘されています。小学・中学・高校・旧制中卒者の2022年の失業率は3.2%でした。それに対して、大学・大学院卒者の失業率は2.1%と低くなっています。同様の傾向は、調査年にかかわらずみられます。高卒者と大卒者の単純な比較ではないものの、学歴によって失業率も変わる可能性が高いことが確認できるでしょう。

社会人人生を長い目でみることが大切

高卒者と大卒者では、同じ年齢の場合、一般的には4年間ほど社会人経験に差があります。高卒者が22歳までに得られる平均月収を20万円とすると、年収では240万円ほど、4年間の合計では960万円ほどです。ボーナスが支給されればさらに収入は増え、それだけの金額を大卒者が就職する頃には手に入れていることになります。高卒の友人が車を一括で購入していたのは、このためでしょう。

20代前半のみでみれば、社会人として得た収入の合計は高卒者のほうが高くなる可能性は否定できません。しかし、説明したように、月収も生涯賃金も高卒者よりも大卒者のほうが高い傾向がみられます。社会人を続けていれば、徐々に追いつき、追い越すことが可能だといえるでしょう。

社会人人生を長い目でみてみましょう。収入や貯金などが重要であると捉えるならば、大学へ進学し卒業してから社会人となるという選択は、決して誤りだったとはいえません。

長期的にみれば大卒者の給与や生涯賃金は高卒者を上回る

学校を出てすぐに就職する場合、高卒者は大卒者よりも収入を得るのが早いため、20代前半では貯金などに差が出てくるのも仕方がありません。しかし、いくつかの調査をみると、年代ごとの平均月収も生涯賃金も、高卒者よりも大卒者のほうが高くなる傾向が確認できます。長期的に、かつ収入や貯金などにフォーカスした場合は、大学へ行ったことの選択は誤りではなかったといえるでしょう。

出典

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 2023 労働統計加工指標集

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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