2024年1月からの新NISAスタートで知りたい! 「ETF」って何? メリット・デメリットも解説

ETFは上場している投資信託

新NISAの取引対象となる主な金融商品は、図表1のようになっています。つみたて投資枠の対象商品は、金融庁で定められた条件を満たすものに限定されています。2024年1月30日時点で281本、うち8本がETFです(※)。

金融機関によって取り扱う商品が違いますが、投資信託を選択した方が多いのではないでしょうか。

(図表1)

そもそもETFはExchange Traded Funds の頭文字で、上場投資信託のことです。投資信託とどう違うのかというと、“上場”と頭についているように、証券取引所に上場しているので、株式のように取引されています。

投資信託は証券市場に上場しておらず、「買おう!」と決めてもその時点では購入価額が決まっていません。基準価額は1日1回、投資信託の運用会社が算出しています。TFは上場していますので、株式のように指値(さしね)や成行(なりゆき)といったやり方で、リアルタイムに購入・売却ができます。この点が、1番の特徴です。

指値とは、自分の購入(売却)したい値段を設定する買い方です。「1万円なら買うけれど、それ以上なら買いません。期限は5日間」と値段と期日を設定します。現在値が1万500円として、5日以内に1万円になれば購入成立です。

成行は、今買える値段で購入するやり方です。これから値上がりする可能性が高い、とにかく早く購入したいときにはこちらのやり方を選択します。売る場合も同様で、2つの方法から選べます。

ETFのメリットとデメリット

リアルタイムで取引できることが投資信託との1番の違いですが、それ以外の特徴についても見ていきます。主な特徴が4つあります。

1. 分散投資ができる

投資信託と同じく、1つの商品で複数の銘柄に分散投資ができます。

2. 余裕コストが安い

投資信託と比べると一般的に保有コスト(信託報酬率)が安いので、長期保有に向いています。

3. 値動きが分かりやすい

日経平均株価はニュースでも簡単に知ることができ、これに連動しているETFなら売買のタイミングが分かりやすいです。それ以外でも、ネットで値動きを簡単にチェックできます。また、スポットで売買できるのがNISA成長枠の利点で、値上がり益(キャピタルゲイン)を狙う買い方に向いています。

4. 投資信託のように、好きな金額で購入することができない

例えば、「A社の株式を1万円分買いたい」というように、ETFは金額を決めて購入することはできません。株式の場合はほとんどが100株単位ですが、ETFは商品ごとに1口・10口など異なる単位が設定されています。

このようにETFは、投資信託と個別株式の両方の側面を持っています。NISA成長枠の対象商品となっているリストは、一般社団法人 投資信託協会のホームページで見ることができます。なお、商品は更新されますのでご注意ください。

投資信託協会ホームページの「NISA成長投資枠の対象商品」を見ると(今回はETFにフォーカスしていますので、REITは除いています)、「日本の株式」「外国の株式」といった投資信託と類似した商品以外に、金融・自動車・医薬品・運輸などの業種や「日本株活躍」といったテーマでパッケージされたETFもあります。

例えば、「自動車株に投資したいけど、個別株ではなく分散したい」という場合には、業種別の商品を検討してみてはいかがでしょうか。ちなみに“NEXT FANDS 自動車・輸送機(TPX17)上場投信”には、トヨタ自動車、本田技研工業、ブリヂストン、デンソーなどの銘柄が組み入れられています。

新NISAが始まり、世間ではその使い方などを指南する記事があふれています。多分どの記事も正解なのですが、そのやり方が自分に合っているかを吟味することが大切です。1年間の時間があります。

拠出する金額はいくらで、そのお金はいつまで口座に置いておくことができるのか、無理のない計画をじっくり考えてから行動することがおすすめです。

出典

(※)金融庁 つみたて投資枠対象商品の分類(2024年1月30日時点)
国税庁 令和6年1月から開始! 新NISAのあらまし
一般社団法人投資信託協会 NISA成長投資枠の対象商品

執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

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