日本の「平均年収」と年収の「中央値」にはどれだけの差がある? 中央値の概念を理解して自分の収入と比較しよう

中央値とは?

中央値とは、簡単にいうと「複数のデータを数値順に並べたときに真ん中にある値」のことです。例えば、年収が250万円・300万円・350万円・500万円・1000万円の5人がいた場合における中央値は、真ん中の値となる350万円になります。

一方、平均値とは複数のデータを合計したあとに、その個数分だけ割り算して算出する値」です。上述の例でいうと、平均値は480万円{(250万円+300万円+350万円+500万円+1000万円)÷5}となります。

このように、平均値には特定のデータの数値が大きかったり小さかったりする場合、その値に引きずられてしまうという特徴があります。一方、中央値は複数のデータの真ん中にある値を指すため、特定のデータの数値が大きかったり小さかったりする場合でも影響を受けにくいといえます。

給与所得は、大企業の役員や弁護士など収入の多い一部の人が平均値を大きく引き上げている傾向があるため、中央値のほうがより実態に近い数値を示しているといえるでしょう。

年収の平均値と中央値はどれぐらい?

日本人の平均年収は、国税庁の「民間給与実態統計調査」で知れます。令和4年分の資料によると、日本人の平均給与は458万円(前年比2.7%増)でした。

一方の中央値は、国税庁の資料に掲載されていないものの、転職・求人サイト大手「doda」の調査によると約360万円という結果になっています。また、同じく転職サイトを運営する「Career Theory」が国税庁や厚生労働省の資料などから試算した給与の中央値は約366万円でした。

以上の数値は、あくまでも参考ですが日本人の給与の中央値は360万円前後と考えておくとよいでしょう。つまり、平均値と中央値の間には100万円近い差があるわけです。これは、上述したように一部の高額所得者が平均値を押し上げていることが原因と推測できます。

年収は平均値のほうが高くなりがち

上述したdodaの調査では、年代別の平均値と中央値の違いについても調べています。それによると、それぞれの年収の平均値と中央値は20代(平均値352万円、中央値330万円)、30代(平均値447万円、中央値400万円)ともに平均値のほうが高い傾向です。この傾向は、40代(平均値511万円、中央値450万円)、50代以上(平均値607万円、中央値500万円)でも変わっていません。

特に、平均値と中央値の差に注目してみると年代が上がるごとに広がっている(20代では22万円なのに対して、50代以上では107万円もある)ことがわかるでしょう。このことからも、役員などに昇進した一部の高額所得者が平均値を押し上げ、中央値との差が年をとるごとにより広がっていることがうかがえます。

平均値だけを見て焦らないことが大切

今回紹介したように、平均値と中央値では算出方法が全く異なります。どちらも、使い方次第で便利な指標であることは間違いありません。しかし、年収を周りと比べるときはより実態に近いといわれる中央値を参考にしたほうがよいでしょう。

自分の年収が平均値と比べて低いからといって焦る必要はありません。自分の収入について悩みがあるときは、まず中央値と比べてみることをおすすめします。

出典

国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査
doda 正社員の年収中央値は?男女別・年齢別・都道府県別にも解説
Career Theory 【2023年最新】日本の年収の中央値は?年齢・雇用形態・業種別でも解説

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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