車のエアコンが効かないときの応急処置は? 効かない原因や修理費用なども解説!

暑い夏、車に乗るとエアコンが効かない! こんな経験をしたことはありませんか?車のエアコンは複雑な部品で構成されており、様々な原因で効かなくなることがあります。この記事では、車のエアコンが効かないときの応急処置や修理が必要となる場合の原因、自分でできることを解説します。

車のエアコン

車のエアコンが効かないときの応急処置

夏はもちろん、近年は春や秋でもエアコンが欠かせない日が増えています。しかし、「いざエアコンを使おうとしたら効かない!」なんて経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。

車のエアコンが効かないときは、慌てずに以下の3つの応急処置を試してみてください。

エアコンの温度を下げて風量を最大にする

1. 設定温度を下げる

夏場は特に、外気温が高いため、エアコンの設定温度を低めに設定する必要があります。目安としては、25℃前後です。

設定温度が低く設定されていない場合は、下げてみましょう。

2. 風量を最大にする

風量を最大にすることで、エアコンの冷たい風を車内に循環させ、効率的に車内を冷やすことができます。

風量が弱いと、冷風を感じるまでに時間がかかり、車内がなかなか冷えません。

エアコンフィルターをチェックする

設定温度や風量を適切に設定しても車内の温度が下がらない場合、エアコンフィルターが原因かもしれません。

エアコンフィルターは、車外の空気を取り込む際に、ホコリや花粉、汚れなどをキャッチする役割があります。エアコンフィルターにつまりがあるなどトラブルがあると冷房が効きにくい状態となるため、定期的な交換が必要となります。

エアコンフィルターは、グローブボックスの裏側など、車種によって設置場所が異なります。取扱説明書を確認して、設置場所を見つけ、確認するようにしましょう。

交換方法は後述するエアコンフィルターのつまりの見出しで解説します。

内気循環を試す

応急処置の3つ目は、「内気循環」にエアコンの設定を切り替えることです。

車のエアコンには、車内の空気を循環させる「内気循環」と、外の空気を車の前方から取り入れる「外気導入」があります。

内気循環は外気を取り込まず、車内の冷えた空気を繰り返し循環させることで、効率的に車内を冷やすことができます。

ただし、長時間使用すると車内の二酸化炭素濃度が上がり、体調が悪くなる可能性があるため、30分に1回程度は窓を開けて換気するようにしましょう。

外気導入は外の温度に近づけることで、結露を防止するメリットがあります。しかし、車内の温度を下げる場合にはあまり向いていません。

車のエアコンが効かない原因4つ|それぞれの修理費用も紹介

ここでは、車のエアコンの修理が必要になるケースと修理費用の目安を4つご紹介します。

エアコンフィルターのつまり

車のエアコンが効かない原因の1つ目は、エアコンフィルターのつまりです。

先にも述べた通り、車のエアコンフィルターはホコリや小さなゴミ、毛、排気・タバコの煙、花粉など、外部から送り込まれる空気の異物を取り除く役割があります。

しかし、エアコンフィルターを掃除せずに使い続けると、異物がつまって正常な送風や空気の循環ができなくなります。

空気をうまく送り出せなくなれば、風量が減って冷房の効きも悪くなります。

エアコンフィルターのつまりを避けるためには、頻繁に掃除を行い、古くなったエアコンフィルターは年単位(もしくは走行距離1万km単位)で交換するようにしましょう。

修理費用

エアコンフィルターのつまりを直すには、自分で掃除を行う、もしくは交換する、業者に任せるの3つの方法があります。

自分で行う場合は、洗浄のみなら無料もしくは交換するフィルター本体の費用のみです。

しかし、業者に依頼する場合は、作業代として約15分で800円前後からの費用がかかります。

掃除のみか交換が必要かは、実際にエアコンフィルターを確認してみるまで判断できません。業者に依頼する際は、自分で先にフィルターの状態やつまり具合を軽くチェックしておきましょう。

エアコンガスの不足や汚れ

車のエアコンが効かない原因の2つ目は、エアコンガスの不足や漏れ、不純物による汚れです。

車のエアコンは家庭用エアコンとほとんど同じ仕組みで、エアコンガス(別名「冷媒」)を使って温度を下げています。しかし、充填したエアコンガスが不足したり、外に漏れたりすることで、エアコンの冷房機能に支障が生じます。

ほかにもエアコンガスを補充する作業の際に、十分な真空引きの基準が確保できていない場合や、内部の故障でガスが汚れた場合などでも、エアコンの冷房機能が低下します。

修理費用

エアコンガスの不足や漏れ、汚れが原因の場合、修理は業者に依頼します。修理内容は、エアコンガスの補充や漏れている箇所の修理、汚れの除去などです。

エアコンガスが足りない場合は、単純に補充すれば解決します。

ただし、漏れている場合は、補充してもまた抜けるため、修理に破損部分の直しも含める必要があるでしょう。

修理費用は、補充が最低6,000円からです。ガス内の不純物の汚れを除く場合に行う「エアコンガスクリーニング」(真空引き)の全入れ替えは約9,000円からです。

漏れの修理費用なども含める場合は、状況にもよりますが、上記と同じエアコンガスの全入れ替えを前提に1万円からが相場です。

エアコン配管の内部の汚れ

車のエアコンが効かない原因の3つ目は、エアコン配管の内部が汚れている場合です。エアコン配管とは、エアコンガスが通る配管のことです。

冷房はエアコンガスが外気と熱交換することで送り出す空気を冷やします。例えば、その循環部分に汚れが生じると冷房が効きにくい状態となります。

この現象は「オイルファウリング」と呼ばれています。

修理費用

エアコン配管の内部が汚れていると、先述のエアコンガスクリーニングを実施しても、冷房機能の回復が難しい状態です。

そのため、配管内部の汚れを落として装置全体の冷房機能を回復するためには、「エアコン添加剤(ACクールショット)」などを使用します。配管内に残っているオイルを取り除けば、オイルファウリングを解消できます。

上記の作業にかかる費用は、業者にもよりますが2,000円ほどです。エアコンガスクリーニングのメニューとの同時作業がおすすめです。

エアコンの故障

車のエアコンが効かない4つ目の原因は、エアコン本体や各部品の故障です。

エアコン内には、フィルター以外にもさまざまな部品が使われています。例えば、以下の部品です。

これらの部品が冷房機能を維持しており、エアコンを稼働させるのに欠かせない役割を持っています。

しかし、1つでも故障すると正常な冷房機能を維持できなくなり、「車内が冷えにくい」「冷たい風が出ない」などの原因となります。

それぞれ機能を解説します。

コンプレッサー

コンプレッサーにはエアコンガスを圧縮して送り出す機能があります。そのため、故障すると熱交換などの冷房機能が使えなくなります。

ブロアモーター

ブロアモーターは、風量調整の部品となっており、風を送り出すために欠かせません。そのため、故障すると風量調整が難しく、車内を冷やしにくくします。

エバポレーター

エバポレーターは、気化熱を利用して冷却するなど、冷房機能の向上といった補助的な役割のある部品です。故障すると冷房機能が低下します。

修理費用

エアコンの故障を修理する場合は、最初に故障した部品の特定が必要です。

しかし、エアコン内部の調査を一般の方がするのは難しいため、原因の特定も専門の業者に任せる必要があります。

修理費用は、部品ごとに設定されていることが多く、修理内容が確定してから初めてわかります。目安としては、コンプレッサーが8万円前後、ブロアモーターが2~3万円、エバポレーターは5万円程度です。

本体まるごと修理や交換の場合は、取り替える本体や部品の価格にもよりますが、数万円から数十万円の費用が必要となるでしょう。

車のエアコンが効かない時に自分でできることはある?

車のエアコンが効かないと気づいたときに、自分でできることがいくつかあります。

エアコンフィルターの交換

エアコンフィルターのつまりなどで内部まで汚れている場合は、エアコンフィルターの交換を行います。

他の修理や作業に比べると、手順さえ知っていれば自分でできる内容です。

基本的には上記の手順で交換を行います。

そのため、専門的な知識がなくても交換だけなら行えます。

ただし、設置時に間違った方法で固定すると、内部にゴミが入り込んでエアコンが故障することもあります。

そのため、フィルターの設置箇所に問題がないか、新品のフィルターに破損部分がないかを目視で慎重に行いましょう。設置後も送風に問題がないかを確かめます。

エアコンガスの残量チェック

自分でできることの2つ目は、エアコンガスの残量を確認することです。

本来、エアコンガスの補充や修理作業は難しく、プロの手が必要です。ただし、残量をチェックするには、専門の道具と知識さえあれば自分でもできます。

それが、「マニホールドゲージ」を使った計測です。

計測器自体は通販やホームセンターなどで容易に購入できます。

しかし、エアコンガスを扱う危険性や数万円の道具を用意する必要もあるため、あまりおすすめできません。

一方で、ガス漏れをチェックする方法は自分でもできます。

以上の手順で出る気泡の数が多すぎないか、全くないかなどを確認することで漏れが判定できます。

ただし、実際にガス漏れしている場合は危険なため、自分でガス漏れ部分の修理はせず、業者に依頼するようにしましょう。

エアコンガスの補充は初心者にはおすすめしない理由

エアコンガスは「不足したら補充すれば良い」と思われがちですが、初心者にはおすすめしない理由があります。

専門知識がなく、正しい手順や管理方法がわからない方がエアコンガスの補充をすると、工程にミスが発生し、ガスを扱うため危険も高まります。

例えば、ガス管内に空気が混ざったり、気体の状態で注入しなかったり、といったミスが挙げられます。一部のエアコンガスには液体で入れるものもありますが、知識がなければその違いも重要性もわかりません。

また、補充は足すだけでなく、エアコンガスの純度を維持する環境を作ることが基本です。

そのため、既存の空気を抜いて管内を真空にするなどの手順を丁寧に行われず、結果としてエアコンの効きが悪くなる場合があります。

このように、難易度の高い作業と専門知識を必要とするため、初心者にはおすすめできません。

車のエアコンについてよくある質問

夏場に車の冷房が効かず、熱中症の危険がある時はどうすればいいですか?

車のエアコンが故障やトラブルで冷房が効かない場合、応急処置をしても直るかどうかわかりません。熱中症予防など急を要する場合は、次のような対処を行います。

冷たいもの(氷、保冷剤、飲み物など)を用意する

熱中症を避けるために、車内に乗っている人の体温を下げられるものや車内温度を下げる冷却アイテムを購入しましょう。

氷や保冷剤など、すぐに手に入れられるアイテムが便利です。

冷却アイテム(手持ち・車内設置用の扇風機、小型冷風機など)を購入する

車内で扇風機や冷風機を使用すれば、体感温度を下げられるでしょう。

ただし、注意点として熱い風を扇風機などで自分に当てると、逆に体感温度が上昇します。

最低限、空気の温度を下げてから冷却アイテムを使うなどしましょう。

日陰のある場所に車を止める

上記と合わせてしておきたいのが、車を日差しの下に置かないことです。それから、空間の温度を下げるために窓を開けるのも有効です。

窓を対角線上に開けて外の風を入れる

窓を開けても空気が循環しにくい場合もあります。

その際は、運転席か助手席の窓を片側だけ10センチほど開け、対角にある後部座席の窓を5センチほど開けます。

空気の圧力差で多くの空気が車内に入り、車内にこもった空気が排出されやすくなります。

カーエアコンからぬるい風しか出ないのはなぜですか?

カーエアコンから冷たい風が出ない理由は、「エアコンガスの不足」「設定温度のミス」「エアコンの故障」などが考えられます。

まずは、設定温度を確認します。設定温度に問題がなく、エアコンの故障の有無やエアコンガスの不足が疑われる場合は、専門の業者に検査依頼をしましょう。

エアコンガスの不足が原因の場合は、専用の道具と知識のあるスタッフがいる業者に補充やクリーニングを依頼する必要があります。

車のエアコンガスが少ないとどんな音がする?

冷房の効きが悪く、エアコンガスの不足が疑われる場合は、エアコンの音でチェックすることができます。

車のエアコンは、コンプレッサーによりエアコンガスを送るため、内部のガス濃度が不十分だと「ウォーン」などの鈍い音がします。

送風口からの音と混同しやすいため、同じ音がしたからといって即座にエアコンガスの不足が確定するわけではありません。

しかし、コンプレッサーの位置を確認した上で、この音がする場合はガス不足の可能性が高まります。気になる場合は、エアコンガスの検査を受けるようにしましょう。

車のエアコンガスは何年ぐらいもちますか?

車のエアコンガスは、7年から10年程度はもちます。家庭用のエアコンに比べて年数が短い理由としては、車が振動して、ガスが漏れやすいためです。その目安が上記の年数となります。

もちろん、走行することによって振動は発生するため、同じ年数でも走行距離が短かいこともあります。一方で、振動を軽減する機能がついていてガスが漏れにくい環境を整えている場合は、10年よりも長くもちます。

まとめ

今回は、車のエアコンが効かないときの応急処置や原因・修理費用、よくある質問などについて取り上げました。

車のエアコンが効かない場合は、自分でできることとできないことがあります。いざという時のために対策を知っておくことが大切です。

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