子どもの能力は15歳までの食べ物で決まる⁉️“脳”の能力アップに必要な5つの栄養素とは

子どもには健やかに育ってほしい。そして、子どもには成績優秀になってほしい。これは多くの親に共通する願いではないでしょうか。実は、この二つの願いを両立させる一石二鳥の方法があるのです。それはズバリ、「食事」を見直すこと。中学受験専門塾「伸学会」代表・菊池洋匡氏と、栄養学イノベーションコミュニティ代表・菊池則公氏による著書『子どもが天才になる食事 2週間で脳が生まれ変わり成績アップ!』(KADOKAWA)から、子どもを健康にして、なおかつ成績を上げる、そんな食事法のヒントを少しだけお届けします。

子どもの能力は15歳までの食べ物で決まる!?

子どもの学力をアップさせたい。
能力を最大に開花させてあげたい。
生まれ持った才能を取り戻してほしい。

これらは、多くの親御さんの共通の悩みであり、希望ですよね。

私も小学生と幼児の2人の子どもを持つ親として、同様の思いを抱いているので、よく理解できます。そんな思いがあるからこそ、より良い塾や学校に行かせたいと考えたり、習い事をさせようと考えたりするのだろうと思います。

ところが、どんなに良いカリキュラムや環境、指導力に優れた先生に子どもをゆだねても、そして、本人が一生懸命にやろうと思っても、一番大切なことが抜けていれば、学力アップも能力開花も、残念ながらおぼつかないでしょう。

その大切なこととは、「お子さんが何を食べているか」です。

特に、15歳までに何を食べるかが学力をはじめとする能力に大きく関係します。なぜなら、人間の脳や体の土台は、15歳くらいまでに出来上がってしまうからです。*

米国の医学者であるスキャモンが発表した体の4つの発育パターン(スキャモンの発育曲線)によると、人の体の各部位は大きく4つの分野に分かれ、それぞれ別のスピードで成長していきます。

脳の発達は6歳くらいまでの時期が特に著しく、その重量は3歳までに60%、6歳までには成人の 90%以上に達します。さまざまな脳の機能の中でも、指先の器用さやリズム感など神経系(神経型)の発達は、6歳くらいまでにほぼ完成します。さらに、身長や体重(一般型)も、この頃までに伸びていきます。

6歳以降は、脳以外の部位が著しく成長していきます。強い体をつくる免疫系(リンパ型)は、6歳くらいから急上昇し、12歳くらいにピークになります。14歳くらいからは、人体を支える骨が急成長し、身長が著しく伸びます。さらに、生殖器(生殖型)も発育し始めます。

その後も体は成長し続けますが、脳、身長や体重、骨、生殖器など極めて大事な体の部位の基礎が出来上がるのが15歳という年齢なのです。

そして、しっかりとした体になるかどうかを決定する大きな要因が、間違いなく「食べ物」なのです。皆さんが考えている以上に、食べるものは、お子さんの学力・能力に多大な影響を与えます。そのことをもっと知っていただきたいと思っています。

子どもの能力をアップする栄養素と摂取のタイミング

多種にわたる栄養素の中でも、特に「お子さんの能力アップに必要な10の栄養素」があります。

今回はその中から、特に脳に効く5つの栄養と食べ物について、その効果と食べ方のヒントをご紹介します。

集中力をアップさせる

● 栄養素...チロシン(アミノ酸)
● 食材...チーズ、卵、肉、バナナ、アボカド、ごま、大豆
● とるタイミング...集中したい30分前

チロシンはアミノ酸の一種で、ドーパミンなどの神経伝達物質や、ノルアドレナリン・アドレナリンなどの集中力に関係するホルモンの材料になります。気分をリラックスさせ、頭をクリアにさせる性質があります。朝、昼、夜の食事に積極的に取り入れましょう。

落ち着きを取り戻す

● 栄養素...トリプトファン(アミノ酸)
● 食材...豚肉、卵、バナナ、煮干し、チーズ、鶏胸、鰹
● とるタイミング...リラックスしたい2時間前や夕食時

トリプトファンはアミノ酸の一種で、体内でつくることができないため、食べ物からとる必要がある必須アミノ酸です。トリプトファンが体内にとり入れられると、落ち着きを生み出すホルモンであるセロトニンの分泌が促されます。また、寝つきや朝の目覚めをよくする働きがあるので、特に夕食時に摂取するといいでしょう。

記憶力を向上させる

● 栄養素...オメガ3脂肪酸
● 食材...亜麻仁油、えごま油、くるみ、イワシ、サバ、牡蠣、ムール貝
● とるタイミング...夕食時

オメガ3脂肪酸は、脳や体の修復に欠かせない栄養素で、記憶力の向上にも効果を発揮します。また、抑うつ症状などの気分の落ち込みを改善する効果も抜群です。うつ病の子どもにオメガ3脂肪酸を16週間投与すると、うつ症状が改善したという研究結果もあります(※)。オメガ3脂肪酸は、イワシやサバなどの青魚や牡蠣、ムール貝に含まれています。エゴマ油などをサラダやスープにかけるのもいいでしょう。えごま油は熱に弱い性質があるので、できるだけ加熱調理には使わずに食べましょう。とるタイミングは、寝ているときに脳や体の修復を促すため、夕食時がベストです。

やる気を引き出す

● 栄養素...BCAA(アミノ酸)
● 食材...鶏胸、鶏モモ、卵、納豆、豆腐
● とるタイミング...やる気を上げたい1時間ほど前、朝食や昼食時

BCAAも体内でつくることができない必須アミノ酸です。Branched ChainAmino Acid(分枝鎖アミノ酸)の略で、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸の総称です。筋肉量やスタミナを維持する効果があります。体力が維持されることにより、やる気の源にもなります。特に、運動を活発にする子は積極的に摂取したい栄養素です。

ひらめき力をアップさせる

● 栄養素...GABA(アミノ酸)
● とるタイミング...日々の主菜として。ブドウやミカンはおやつに
● 食材...発芽玄米、トマト、ジャガイモ、ナス、ブドウ、ミカン

GABAもアミノ酸の一種です。脳内の興奮した神経を落ち着かせる作用があります。リラックスして頭の回転がよくなり、ひらめき力のアップにつながります。発芽玄米には、玄米の数倍のGABAが含まれています。白米の代わりや、白米に混ぜるなどして、積極的に食べるようにしましょう。また、ブドウやミカンにもGABAは含まれていますので、勉強の合間などにちょっとずつ食べるといいでしょう。

※Am J Psychiatry:2006 Jun; 163(6):1098-100

本文は『子どもが天才になる食事 2週間で脳が生まれ変わり成績アップ!』(KADOKAWA)より一部抜粋・編集しています。

画像提供:Adobe Stock

著者メッセージ

毎日栄養バランスを考えて料理をするのって大変ですよね。私も我が家の料理担当として日々料理をしていますので、忙しいときに料理をする大変さはよくわかります。晩ごはんを作るのが遅くなってしまって、妻を待たせてしまって申し訳ない気持ちになることも…。そして、飽きさせないようにメニューを考えるのも一苦労です。ですから私もクックパッドさんにはいつも助けられています。
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時短レシピ・作り置きレシピを活用しながら、上手にお子さんに栄養満点で飽きさせないご飯を食べさせてあげてください。


書籍紹介

『子どもが天才になる食事 2週間で脳が生まれ変わり成績アップ!』(KADOKAWA)

「どう勉強するか」より「何を食べるか」が大事!
難関中学・東大に合格!才能が開花!子どもの集中力・やる気・発想力は15歳までの「食」で決まる!
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著者紹介

菊池 洋匡 (きくち ひろただ)
中学受験専門塾「伸学会」代表。1981年、東京都生まれ。小学生時代に「算数オリンピック銀メダリスト」になる。開成中学・高校卒。慶應大学法学部卒。東京都の自由が丘、目黒、中野で中学受験専門塾「伸学会」を運営する。開塾4年足らずで生徒数は300名を超え、全学年が満席状態。心理学や脳科学の裏付けに基づく教育法は、多くの子どもに再現可能で注目が集まっている。

菊池 則公 (きくち のりまさ)
栄養学イノベーションコミュニティ代表管理者。1983年、東京都生まれ。東京衛生学園専門学校はりきゅう学科卒。東京都の自由が丘で「きくち針灸院」を運営。東洋医学の視点と分子栄養学の視点を組み合わせ、ロジカルに汎用性を持たせた施術法の開発に努める。Facebookでは900名の治療家コミュニティを持ち、日々情報配信を行う。

監修者紹介

宮澤 賢史 (みやざわ けんし)
医師・医学博士。東京医科大学医学部卒。医科歯科連携診療普及協会理事長。臨床分子栄養学研究会理事長。2004年から栄養療法を開始。がんから糖尿病、リウマチ、精神疾患まで扱う範囲は幅広く、患者数は2万人を超える。現在、治療のかたわら、分子栄養学実践講座主宰、医科歯科連携診療普及協会会長などを兼任。

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