俳優・市毛良枝が40歳で登山に出会い、新たな自分を見つけていくエッセイに注目

市毛良枝さんが40歳で初めて登山に出会い、ひとりで自然に向き合い、新たな自分を見つけていく過程を綴ったエッセイ『73歳、ひとり楽しむ山歩き』(KADOKAWA)が刊行された。山登りをする人はもちろん、散歩やひとり旅をしたい方にもおすすめのエッセイだ。

俳優として活躍する一方で、自分の殻を破れない性格にコンプレックスを持っていたといいう市毛さん。しかし、山との出会いが市毛さんを変えた。自らの足で登り内側から湧き上がる感動を知るうちに、引っ込み思案で運動は苦手と思っていたのが、自分らしくやりたいことに挑戦していこうという考えになっていった。

年齢、標高、登った百名山といったわかりやすい数字よりも、過ごした時間や歩く過程そのものを感じ味わうこと。山での感動と芸術での感動は同じであること。女性の生き方という道も、ロングトレイルという道も、それを歩く人たちによってつながっていくということ。

女性で初めてエベレスト登頂を果たした田部井淳子さん、ロングトレイルカルチャーの紹介者である加藤則芳さんらをはじめとした人々との交流が、自分の道を歩むことの素晴らしさを教えてくれる。市毛さんが山行と人生を振り返りながら上梓した。山あり谷あり、最後には眺望の広がるような一冊だ。

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