インドネシア 大阪・関西万博パビリオン「船」をモチーフに サステナブルな海洋国家、首都移転PR

インドネシアパビリオン構想発表会では、民族舞踊によるダイナミックなパフォーマンスが披露された<2024年2月28日 大阪市北区>

大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)に独自パビリオンを出展するインドネシアが2月28日、デザインを公表した。2024年4月に着工、開幕2か月前の2025年2月の完成を予定している。

【画像】インドネシア 大阪・関西万博パビリオン「船」をモチーフに

インドネシアが日本の万博に参加するのは、1970年の大阪、2005年の愛知に続いて3度目。
昨年(2023年)、日本とインドネシアは国交樹立65周年を迎え、大切なパートナーととらえている。2022年の日本とインドネシアの貿易額は420億ドルにのぼった。

インドネシアの首都・ジャカルタは、人口の過密化で交通渋滞や大気汚染などが深刻な問題となっており、これらの問題を解消するために約1200キロ離れたカリマンタン島(ボルネオ)の「ヌサンタラ」に移転する。2045年までに完了する予定。
インドネシアにとって大阪・関西万博は、SDGs(持続可能な社会)を体現する国家として、世界に向けてアピールする機会となる。

インドネシア国家開発企画庁のスハルソ・モノアルファ長官は、「首都移転をめぐり、熱帯雨林地域のヌサンタラの環境を破壊するのではないかという誤解があるが、そうではない。我々インドネシアのSDGs達成への取り組みを見ていただきたい」と抱負を語った。

レセプションに招かれた横山英幸・大阪市長は「インドネシアと日本、文化や経済での交流も深い。たくさんの島で構成される国家で多様性を1つにして、高度な経済成長を続けている。豊かな自然、深い文化、高い経済力、こうしたとてもパワフルな国のパビリオンが2025年に花開くことを心から嬉しく思う」と話した。
また、日本国際博覧会協会・石毛博行事務総長は「大阪・関西万博の会場、夢洲(ゆめしま)は海に囲まれた人工島。大規模で総合的なテーマを扱う”登録博”としては初めてで、海洋国家・インドネシアが『船』をモチーフにしたパビリオンを展開するのは、私たち(主催・運営する側)にとっても、(クリアすべきさまざまな課題がある中)荒波を乗り越えて進んで行くというイメージだと思う。素晴らしいパビリオンの構想が示された」と述べた。

インドネシアパビリオンは、「ウェルカム・エリア」、「自然アリーナ」、「文化エリア」、そして2030年を目標年度とするSDGs(持続可能な社会)の次のゴール(ポストSDGs)の目標年度と想定され、なおかつ首都移転が完了する”2045年のインドネシア”へ向けた旅を描く「未来エリア」に分かれている。

屋根には太陽光パネルを設置し、木材は閉幕後、全て再利用する“持続可能な”工夫を施すという。

「ウェルカム・エリア」は熱帯林をテーマにしており、インドネシアの森林の重要性を世界に説明するインドネシアの熱帯林のミニチュアが特徴。
「自然エリア」では、インドネシアの地熱エネルギーやインドネシアの美しい海の魅力、自然景観などのインドネシアが持つ可能性を映像で表現する。
「文化エリア」では将来のインドネシア社会を展示。
「未来エリア」ではマッピング技術を通じて、新しい首都「ヌサンタラ」を示すインドネシア・ビジョン2045 と、このビジョンの物語を映し出すシアタールームを設ける。

インドネシアは、パビリオンの建設工程として「2024年10月までに建物の8割を完成させる」としている。
しかし博覧会協会は、独自でパビリオンを出展する「タイプA」を採用した55か国に対し、同月中旬ごろまでに建物の外装工事を終えるよう呼びかけており、「タイプA」として出展するインドネシアはこの目安に間に合わないという。

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