近畿整備局/浚渫時の水質汚濁抑制へ天ケ瀬ダムで試行、フジタの工法がニーズに合致

ダム湖を濁らさずに堆積した土砂を回収できる浚渫技術の現場見学会が2月28日、京都府宇治田原町の天ケ瀬ダム貯水池で行われた=写真。近畿地方整備局淀川ダム統合管理事務所のニーズに対し、フジタが水質汚濁を抑制する「ハイリフト無濁浚渫工法」を提案。同事務所が試行現場を提供した。
建設現場の生産性向上を目指し、現場ニーズと民間企業などが開発した技術シーズをマッチングさせる取り組みの一環。淀川ダム統合管理事務所が効率的に濁水の発生を抑制できる技術を求め、フジタの濁水発生抑制技術とマッチングが成立した。
全国にはダム湖の堆砂で機能が低下しているダムが100カ所以上もあると言われ、小型浚渫ポンプ船を使ったり、水を抜いて重機で堆砂を除去したりする場合が多い。水質汚濁のない真空吸引の方法もあるが、水深が深いダムでは使えない課題があった。
ハイリフト無濁浚渫工法は、ダム湖の水質を汚濁させずに水深20メートル以上、上揚程10メートル以上の堆砂除去が可能な技術。組み立て式の台船に高性能な真空発生装置と、泥土を搬送する中継ポンプユニット「高濃度攪拌(かくはん)ポンプ」を搭載。真空吸引だけでは不可能だった陸上10メートル以上の揚程でも効率的に除去できる。
汚濁の発生で困難だった電力系ダムの取水設備近傍でも発電しながら浚渫作業が行えるという。
見学会には同局や京都府の職員約40人が参加。フジタの担当者が開発の背景や工法・システムの概要、これまでの実証実験の成果を説明した。

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