能登半島地震2カ月/復旧は次の段階に、創造的復興へ建設業の役割大きく

能登半島地震の被災地でインフラ復旧が進んでいる。依然として続く建設業界の対応に「敬意と感謝を申し上げたい」(遠藤仁彦国土交通省北陸地方整備局長)などと関係機関が謝意を伝える。国交省は地方自治体に代わり直轄権限代行での復旧工事に向け現地組織を設置。本復旧に向けた技術的な検討を始めた。今日で発災から2カ月。復旧は次の段階に移行しつつある。
「インフラの緊急復旧は、建設業界の全面的な協力の下、着実に進捗(しんちょく)している」。遠藤局長は現状をそう説明した上で「地域・国土の守り手としての責任感、使命感の下で建設業界が総力戦で当たった2カ月だった」と振り返る。被害の集中した能登半島ではこれまでに、主要幹線道路の緊急復旧が約9割完了し、孤立地区が解消した。優先順位の高い生活インフラの復旧に必要な道路は緊急復旧が約8割完了。能越自動車道は通行止め解除・対面通行が拡大している。
ただ震災の爪痕は大きい。石川県のまとめ(2月28日時点)によると、県管理の道路は22路線・49カ所が通行止め。88河川・301カ所で河道埋塞、堤防沈下、護岸損壊などの被害がある。7市町で断水があり、処理施設の被災から推計約244万トンとされる災害廃棄物などの処理は課題のまま。のと鉄道・能登中島~穴水間は復旧作業中。県は3月末に3000戸としていた応急仮設住宅の着工を4600戸に増やす。
震災はインフラの在り方にも影響を与えた。土木学会の田中茂義会長らの現地調査団は、金沢市内で2月6日に行った会見で「考えられる複合的な災害のほぼすべてが生じた」と指摘。幹線道路の盛り土区間の耐震化や復旧を考慮した構造・工法を検討することの必要性などを強調した。
インフラの本復旧は、権限代行で国交省が自治体管理の一部の港湾、空港、海岸、国道249号沿岸部の土砂災害追加対策を担う。北陸整備局は「強靱性を高めながらの一日も早い復旧」(遠藤局長)も念頭に、能登復興事務所と能登港湾空港復興推進室を設置。土砂災害対策や道路復旧の技術検討委員会を立ち上げた。
同局は、発災直後に会員が緊急出動した全国建設業協会(全建)傘下、新潟、富山、石川の各県建設業協会と道路管理者などで構成する北陸圏域道路啓開計画策定協議会を2月29日に初開催した。課題や教訓を次の災害に生かすという。同局の要請で14社が道路や河川の緊急復旧に対応している日本建設業連合会(日建連)は、能登半島地震復旧・復興対策部会を災害対策委員会に設けた。
「被災地、被災者に寄り添った復興となるよう全力で取り組む」。2月23日の被災地視察で斉藤鉄夫国交相はそう決意を示した。石川県は「創造的な復興」(馳浩知事)を目指している。「復興のためにはインフラの復旧が不可欠」(遠藤局長)。建設業界は今後も大きな役割を担う。

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