国交省/受発注者のデータ共有徹底、資料貸与システム積極活用を

国土交通省は直轄土木で2023年度に原則適用したBIM/CIMの一環として、業務・工事の遂行に必要なデータを受発注者で共有するデータシェアリング(DS)を徹底する。業務・工事の電子成果品のデータを受注者がインターネット経由で検索・ダウンロードできる「貸与資料ダウンロードシステム」の積極的な活用を促すため、システム利用に必要なID、パスワードを自動的に貸与する試みを始める予定。さらに受発注者間でデータを効率的に共有する手法を検討し、今後の進め方を整理する。
国交省は3Dモデルに限らずデータの活用・共有で受発注者の生産性向上を図ることをBIM/CIMの目的に据える。原則適用に当たって、発注担当者が契約後速やかに設計図書の作成の基となった情報を説明し、受注者が希望する参考資料を貸与することを明確化していた。
受発注者双方へのアンケートでは、情報説明が「(口頭か文書で)有り」との回答率が21、22年度の6割弱から23年度には7割弱に増えた。説明がないケースも依然あり、3Dモデルの活用状況を問わずDSを徹底するよう改めて周知する考えだ。
電子成果品を一元的に保管する「電子納品・保管管理システム」の新機能として22年11月から運用している貸与資料ダウンロードシステムは、DSを補完する仕組みとして積極的な活用を促す。利用IDをプッシュ型で貸与し、通常なら必要な利用申請と承認取得の手続きを省く。受注者は一括検索で必要な資料にアクセスでき、受け渡しの手間も減らせる。発注者にとっても修正設計成果品の貸与漏れを防止するなどのメリットが生まれる。
国交省はさらに効率的なデータ共有手法として、中部地方整備局新丸山ダム工事事務所での先行事例を挙げる。発注者と施工者、設計者の3者がクラウド上でデータを共有し管理。報告様式の事前合意などで、データ入力と確認の手間を省略し最新データの取り違えも防止している。施工と設計が同時進行する場面などで迅速な合意形成に役立っているという。

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