対中関係「諸懸案含め対話重ねる事が重要」外相

 上川陽子外務大臣は28日、都内で開かれた東京グローバル・ダイアログ(日本国際問題研究所主催)で基調講演した。この中で上川大臣は国家間競争のマネージと平和の維持に関して日本の立ち位置、役割に触れ「我が国がこれまで享受してきた平和を守り抜くことの大切さは強調してもしすぎることはない」と国際社会の安全保障環境の厳しい状況を表現した。

 上川大臣は「 我が国は今、戦後最も厳しい安全保障環境に直面している。日本の外務大臣である私にとって日本の領土・領海・領空、国民の生命・財産を守ることは最も重要な責務」とした。

 そのうえで「現在の世界、とりわけインド太平洋地域は近年、歴史的なパワーバランスの変化に直面している」と指摘。「我が国周辺には北朝鮮による核・ミサイル活動や東シナ海・南シナ海における力による一方的な現状変更の試み、台湾海峡情勢の緊張、ロシアの軍事活動など、多くの不安定要因やリスクが存在している」と語った。

 上川大臣は「インド太平洋地域において我が国が果たすべき重要な責任は地域に安定的なパワーバランスを築くための積極的な貢献と力による一方的な現状変更の試みを牽制し、地域に戦争を起こさず、今ある平和を守り抜くこと」と述べた。

 上川大臣は特に中国との関係について「インド太平洋地域の平和を守る上で中国を抜きに考えることはできない。我が国と中国との間には様々な可能性と共に、数多くの懸案も存在している。台湾海峡の平和と安定も重要」と述べた。

 そして「日中両国は地域と世界の平和と繁栄に対して大きな責任を負っている。戦略的互恵関係を包括的に推進するとともに、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含め対話をしっかり重ね、共通の諸課題については協力するという『建設的かつ安定的な日中関係』を双方の努力で構築していくことが重要」と強調した。(編集担当:森高龍二)

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