米国債のタームプレミアム、根強いインフレで再上昇も=PIMCO

Davide Barbuscia

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米長期国債のタームプレミアムは、根強いインフレと財政赤字拡大を背景に再び本格的に上昇する可能性がある──。米大手債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)が29日、こうした見通しを明らかにした。

期間が長い債券に対して投資家が見返りとして求める上乗せ金利を指すタームプレミアムは、2007─09年の世界金融危機後の低金利時代や、新型コロナウイルスのパンデミックを通じてほぼ抑制されてきた。それ以前も、1980年代から緩やかな低下基調をたどっていた。

ニューヨーク連銀のデータによると、米10年国債利回りのタームプレミアムは足下でマイナス0.3%。

昨年は財政赤字と国債増発を巡る懸念で一時タームプレミアムがプラスに転じる場面はあったが、その後米連邦準備理事会(FRB) の利下げ観測でまたマイナス圏に戻った。

しかしPIMCOの非伝統的戦略最高投資責任者のマーク・シードナー氏とポートフォリオマネジャーのプラモル・ダワン氏は「われわれはタームプレミアムの40年来の低下トレンドの転換が始まるかもしれない局面を迎えている」と述べた。

1月の物価上昇率が予想を上回ったことに加え、最近は財政赤字が今後増大してその穴埋めのために国債発行が膨らみそうだとの観測が出てきていることから、タームプレミアムが持続的に上向く素地が形成されているという。

両氏は、1990年代終盤や2000年代初めに見られた2%前後までタームプレミアムが上がれば、その影響は債券価格だけでなく、株価や不動産、その他将来のキャッシュフローを割り引いて現在の価値を算出しているあらゆる資産にも及んでくると指摘した。

また両氏は、今後FRBが利下げに動き、さらにタームプレミアムが上昇した場合、米国債の逆イールド(長短利回り逆転)は解消されてもおかしくないとの見方を示した。

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