8人が死亡の那須雪崩事故 教諭ら3人に禁錮4年を求刑

 那須町で登山の講習中だった生徒と教諭合わせて8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている教諭ら3人の刑事裁判が2月29日宇都宮地方裁判所で開かれ、検察側は3人に禁錮4年を求刑しました。一方、弁護側は無罪を主張して結審しました。

 この事故は、2017年3月那須町で登山講習中だった大田原高校山岳部の生徒7人と教諭1人が雪崩に巻き込まれ死亡したものです。業務上過失致死傷の罪に問われているのは、講習会の責任者と生徒を引率していた被告の3人です。

 裁判では、雪崩を予見できたかなどが争われています。

 検察側は論告で、安全な訓練範囲を定めず生徒や引率教諭に具体的な説明がないまま漫然と歩行訓練を行い、注意義務を怠っていたと述べました。また被告らは、安全確保のための十分な情報収集をせず当時の積雪が客観的な情報から30センチ以上あったことや訓練場所が雪崩の起きやすい傾斜角度であったことから「雪崩を予見できた」と指摘し、3人に禁錮4年を求刑しました。

 遺族に代わって代理人弁護士による意見陳述では、被害は甚大で被害者は全く落ち度がなく過失は重大だとした上で、3人から真摯な謝罪がなく厳罰を求めていると述べました。

 一方弁護側は、3人は当日目視や体感から一晩に積もった積雪は15センチだったとし、訓練場所については雪崩を予見する必要のない安全な場所に定めたとして注意義務違反にはあたらないと述べました。また、1班の生徒が菅又被告からの下山するようにという指示に従わず、人為的に雪崩が発生したことから雪崩を予見できなかったとして無罪を主張しました。

 3被告は最終陳述で「事故を一度たりとも忘れたことはない。被害者のことを思うと心苦しく思う」「携わった講習会でこのようなことになり心を痛めている」などと述べました。

 教諭・優甫さんの父・毛塚辰幸さん「彼らは自分たちに非があったことを認め、反省すべき。そして反省したことを登山活動に活かすべき。」

 公輝さん(当時16)の父・奥勝さん「最大限の求刑を出していただいた。今後の学校事故の教訓となる判決を望む。」

 判決は5月30日に宇都宮地方裁判所で言い渡されます。

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