JKT48の公演に行ってみた!

JKT48の公演を話のタネに1回ぐらい見ておきたい、と思っても、どうやってチケットを買ったらいいのか、見方に決まりやルールはあるのか、などなど、わからないことがたくさんあります。初めて行く場合は、ちょっと敷居が高いかも……。指南役のMさんとともに訪れてみました。

スディルマン通りの「fX」4階、「JKT48劇場」にやって来ました! チームJの新公演、「Sekarang Sedang Jatuh Cinta(ただいま恋愛中)」を見る。この日は初日が終わって2日目の公演だ。JKT48の看板チームである「チームJ」の約1年ぶりの新公演とあって、午後5時半に劇場に着くと、劇場前はもう人でいっぱいだ。

AKB48では、チームAが10年前に行った公演です。水玉模様のスカートなど、衣装がかわいい。初日は力が入る分、2日目は難しいとよく言われますが、きっと素晴らしいパフォーマンスを見せてくれると思います!

指南役・Mさん

公演スケジュールはウェブサイトでも確認できるし、劇場の前には月曜から日曜までの1週間の予定が張り出してある(下写真)。「5月22日(月)午後7時、Team T『Aturan Anti Cinta(恋愛禁止条例)』、5月23日(火)午後7時、Team J『Sekarang Sedang Jatuh Cinta(ただいま恋愛中)』」といった具合だ。

チケットは以前はオンラインでのみの販売で、予約や購入が面倒だったが、今では当日に劇場窓口でも買える。時間が出来たり、ふと思い付いた時に、ふらっと来て公演を見ることだって可能だ。チケットは12万ルピア、女性は半額の6万ルピアとお得。この値段なら、「JKT48」を一度、見ておくのも損はないのではないか。

チケットは青と緑の2種類で、青は上手、緑は下手。それぞれビンゴ・ナンバーが書かれている。入場時間になると劇場入口で抽選をし、当たった「ビンゴ・ナンバー」の順から着席する。ラッキーであれば、舞台にかぶりつきの最前列で見ることも可能だ。「桟敷」に当たるVIP席は、劇場後方にある。

チーム別にメンバーの写真が飾ってある廊下をたどって劇場に入ると、思いの外、こぢんまりとしている。舞台と客席の近さにはびっくりする。

舞台の前に隙間なくびっちり置かれた丸椅子は約220席。前後の間隔は狭く、「座れるのか?」と思ってしまうほど。飛行機のエコノミー席どころではない。劇場の一番奥には「立ち見」席もある。

ビンゴ・ナンバー順に入って来た客は、走って、目指す席を取る。やはり、「前の方」が人気のようだが、「人によって『良い席』は異なる」とMさん。

良い席は、自分の好きなメンバーがよくいる場所の前。右手に立つことが多ければ右手、左手に立つことが多ければ、左手。最近は左右に花道が出来たので、花道に近い一番端の席でも間近にメンバーを見られます。また、座っていると、メンバーからはまず見つけてもらえないので、わざと立ち見席を選ぶ人もいます

指南役・Mさん

初めての場合なら、やはり舞台にできるだけ近い場所が良いだろう。

この日は満席で、後ろには立ち見客もいた。ほとんどがインドネシア人の若者たちで、女性も多い。

午後7時、「キンコンカンコンー」と開幕のチャイムが鳴り、「写真撮影禁止」などのメンバーから注意事項のアナウンスがあり、いよいよ公演開始(こちらの写真は撮影許可をいただいています)。

大音響とともに、公演が始まった。舞台で踊り、歌うメンバーに目が釘付けになる。メンバー全員が出演する曲と2人〜数人のユニット曲があり、衣装も雰囲気もさまざまで、観客を楽しませる。驚いたのは、歌詞はインドネシア語なのだが、「くまのぬいぐるみ」「7時12分の初恋」といった曲のタイトルも日本語のままで(インドネシ語訳も付くが)、「超絶かわいい○○ちゃん」といったかけ声(コール)も日本語なこと。「日本からそっくり輸入されたアイドル文化」なのだ。

舞台を見ていると、メンバーたちの個性に引き付けられる。同じ振りなのに、人によって表現が違う。笑顔いっぱいで振りも大きい人、笑顔も振りもちょっとぎこちない人。その違いが面白い。そして、大勢いるメンバーの中で、繰り返し視線が戻る人、なぜか視線を引き付けられる人がいる。それは見る人によって違い、それが「推(お)し」ということになっていくのだろう。

私の場合、まず目に留まったのはメロディー。メロディーは背もそんなに高くなく、体の線は細いのだが、舞台で躍動すると、小さな体が大きく見える。人によって、生まれながらの主役タイプと脇役タイプがあると思うが、メロディーは間違いなく主役タイプ。楽しそうな笑顔もダンスの表現力も完璧で、さすがJKT48を創設当初から引っ張って来たメンバー、と思わせる。そして、その突出具合がまったく嫌みでないのは、人柄だろうか。

Mさん推しのヨナは「クール・ビューティー」という雰囲気。インドネシア人カメラマンが気に入っていたのは、トークが抜群に面白かったセシル、大人の落ち着きのあるシャニアだった。

写真を見ているだけだと、メンバーの判別もつかないぐらいで、その魅力も良くわからないが、生の舞台で見ると、性格にもはっきり違いが出て、個性が引き立って面白い。

幕間に「メンバーの自己紹介」や「他己紹介」のトークがある。例えば、「断食明けの食べ物に例えると、○○ちゃんは何?」というお題で、メンバーが別のメンバーを紹介する。「○○ちゃんはマルタバ、その理由は……」という具合に、ちょっと気の利いたことを言ったり、笑いを取ったり。他愛もないトークなのだが、盛り上がる。俗語も多く、これについていくのは相当のインドネシア語力が必要だ。これをこなしていた仲川遥香さんはすごい、と思った。

仲川遥香さんは自分一人のトークをこなすだけでなく、積極的に相手に絡み、話を振っていましたよ

指南役・Mさん

歌、踊り、トークで、メンバーの1人ひとりに目が行くようになり、その中で「ちょっと気になる」メンバーが出て来ると、公演を見るのが楽しくなってくるのだろう。

公演を見ている人たちは、意外に静かだ。実は、サイリウムを振り回し、決まった場所で決まったかけ声をかけながら見るのかと思っていて、ついて行けるか心配していたのだが、特に「合わせる」必要がないのはありがたい。中には、席に座ったまま目はスマホに釘付けでSNSに余念なし、という人もいた。

全体的に見て、サイリウムも時々、振るぐらい。色はどうやって決めるのだろうか?

サイリウムの色を変えるのは、その時の衣装に合わせたり、自分のイメージで。公演は自由に見て、楽しんで、大丈夫ですよ

指南役・Mさん

13曲の後、アンコールが3曲。計16曲の公演は量的にもたっぷりで、満足する。最後の曲「なんて素敵な世界に生まれたのだろう」の衣装はパジャマで、とてもかわいい。

公演が終わって劇場を出ると、パジャマ姿のメンバーが一列になって待ち構えていて、客1人ひとりと「ハイタッチ」をする。メンバーは「Terima kasih!(ありがとう)」などと声を掛け、相手が日本人で女性だと見ると、日本語で「ありがとー」「かわいいー」とサービス旺盛だ。日本では残念ながら、ファンによるメンバーの傷害事件などが起きて、このハイタッチはなくなってしまった。

JKT48は、AKB48の立ち上げ当初のコンセプトを守っているんです

指南役・Mさん

月並みな感想だが、メンバーたちが全力で公演に臨む一生懸命さ、チームワークと個性の両方に触れられるのは気持ちが良い。

握手会なども、日本に比べると値段が安いので、お金さえ出せば、メンバーと長く話し込むことも可能だ。実際に、夢をかなえてJKT48メンバーと結婚した日本人男性もいる。

応援をすれば、相手に届く。触れられないようでいて、触れられる。手に届かなそうでいて、手に届きそうで……その絶妙の距離感

メンバーたちの熱気とひたむきさに、ちょっと高揚した気分になった。「公演に1回行けば、はまる。応援したくなる」と言うのは、その通りかもしれない。

●JKT48 Theater/fX Sudirman F4, Jl. Jend Sudirman Pintu Satu Senayan/1回の公演のチケットは12万ルピア(小中高生、女性は6万ルピア)/jkt48.com

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