森川葵と吉住がけんかするシーンで、臼田あさ美が止めに入るもヒートアップ!――「訳アリ女ダイアリー」インタビュー

森川葵さんが主演を務め、臼田あさ美さん、吉住さんが共演するコメディードラマ「訳アリ女ダイアリー」がTBSにて3月2日(午後2:00)に放送。数々の人気バラエティーで放送作家を担当し、日曜劇場「ドラゴン桜」(TBS系)などのドラマ脚本も執筆するオークラさんが脚本を務めています。

新東京テレビ入社3年目の河野美知留(森川)は、ドラマ制作部に所属する25歳の若手社員。いつかは自分の考えたドラマを作りたいと強く思っていた美知留のもとに、ひょんなことからドラマプロデューサーとしての仕事の話が舞い込みます。制作予定だったドラマのプロデューサーが入院することになり、その代打として美知留が急きょ抜てきされたのです。

ドラマプロデューサーデビューとなる美知留は、ベタなドラマではなく新しいドラマを作ろうと意気込み、42歳のベテランディレクター・斉藤昭子(臼田)と35歳の気弱な脚本家・有澤佳代(吉住)、そして上司の護間二郎(岡部たかし)と共にドラマの脚本について打ち合わせを進めますが、3人は価値観の違いから脚本の話し合いは一向に進みません。さらにはそれぞれ私生活に“訳アリ”の事情を抱えていて……。本作は、悩める“訳アリ”女性たちがあるドラマの脚本づくりに奔走し、彼女らの本音が赤裸々にさく裂してしまうコメディードラマです。

TVガイドWebでは、新東京テレビのドラマ制作部に所属する若手社員・河野美知留を演じる森川葵さん、美知留の先輩でドラマ制作部のベテランディレクター・斉藤昭子を演じる臼田あさ美さん、脚本家デビューしたものの関わったドラマは鳴かず飛ばずな有澤佳代を演じる住吉さんに、本作の見どころなどについて語っていただきました。

――最初に台本を読んでみてどういう印象を持たれましたか。

森川 「現実と同じように描かれている部分もあれば、ドラマならではの展開もあり、いろいろなことが描かれているのかなと思いながら読ませていただきました。プロデューサーさんや脚本家さんたちがどういう話し合いを重ねて現場に臨んでいるのかなど、自分の知らないところをのぞきながら美知留をどう演じるのかを考えることが楽しかったです」

臼田 「ベテランのディレクター役ということで、自分自身も仕事をしながらドラマのベテラン女性ディレクターの方に接する機会があり『あの方の要素もあるのかな』と少しリアルなイメージも湧きつつ、3人の会話を楽しみながら現場作りができたらなと思いました」

吉住 「佳代は35歳で同い年ぐらい、しかも子どもがいるということで『もし自分に子どもがいたらこんな感じだったのかな』と想像しながらお芝居に臨みました。本作を撮り終えてから子どもを見かけると『かわいいな』と目で追うことが増えました(笑)。オークラさんが脚本を書かれたのでテンポもいいですし、こだわって作られたシーンも見えたので、そこは丁寧に演じるようにしました」

――それぞれ演じられた役柄を教えてください。また、そのキャラクターとご自身が重なる部分はありましたか。

森川 「ドラマが大好きな若手プロデューサーで、面白いドラマを作りたいという熱い気持ちはあるけれど、初めてプロデューサーを任されたこともあり、いろいろとうまくいかずに気持ちだけが空回りしているような役柄です。熱い気持ちがあるが故に、言わなくてもいいようなことを言ってしまうシーンが多く、私自身もいろいろと言ってしまうタイプなので、そこが美知留と少し似ているのかもしれません。彼女を演じてみて客観的に見ることができたので、『言わなくていいことは言わなくていい』という学びがありました(笑)」

臼田 「現場の方はカジュアルで動きやすい格好をしているというイメージだったのですが、昭子はいつも奇麗な格好をしていて恋愛も充実させているという、私が持っていたディレクターさんのイメージとは少し違う部分もあります。でもその華やかな印象とは裏腹に、1人になった時のちょっとした孤独は理解できるなと感じました」

吉住 「佳代は不器用な脚本家ということで、『思ったことをきちんと伝えればいいのに!』と思いながら演じている部分が結構ありました。そんな彼女だからこそ自分の思ったことを言えた時の爽快感を、演じていた自分も感じ取ることができました。でも、あそこまでは少しやりすぎですかね(笑)。適材適所で自分を出していかないと、抑え込んだ分、こうやって跳ね返ってくるのかという、私にも学びがありました」

――今回のドラマの見どころの一つに会議室のシーンがあると思うのですが、演じ切ってみていかがでしたか。

森川 「とにかくセリフ量が多くて……」

臼田 「ね。すごい量だったよね!」

森川 「同じ場所でずっとしゃべり続けているので、ただ会話しているだけにならないよう、ここでテンションを上げてみるとか、ここは動きを付けてみるとか、動作の工夫が難しくて大変でした」

吉住 「撮影時間が短い中でのあのセリフだったので、半年分はしゃべったとおっしゃっていましたね!」

森川 「セリフ量としては、いつも演じるドラマや映画の半年分ぐらいありました」

臼田 「熱が入っているシーンだから、普通のテンションではないし難しいよね」

森川 「吉住さんの役は気弱な脚本家というキャラクターであまりしゃべらないから、ヒートアップした美知留が余計に目立ってしまうんです(笑)」

――臼田さんは役柄的にもお姉さんのような視点で見守っていたとは思うのですが、お二人の掛け合いを見ていていかがでしたか。

臼田 「森川さん1人で膨大なセリフを熱を込めてしゃべっているのを見ながら『頑張れ! 頑張れ! いけるいける!』と昭子役としてもそうですが、私自身もそう思いながら心の中で応援していました。私の役は会話の間に相づちを入れる感じのシーンだったので、森川さんの足を引っ張らないようにという気持ちで演じました」

――現場では3人仲良く盛り上がったそうですね。

吉住 「現場に入る前は『大女優のお二人……』と緊張していたのですが、お二人とも気さくで話しやすくて、安心してお芝居に臨むことができました。ドラマの現場に来る機会があまりないため自分の演技で精いっぱいでしたが、演技に合わせて動いていたり、護間二郎役の岡部たかしさんも入られて4人でアドリブをつけたりと、演技することの楽しさを教えていただきました」

――森川さんが特に印象的だったシーンを教えてください。

森川 「吉住さんと2人きりでけんかをするシーンがあるのですが、台本を読んでいる時点はそこまで激しいけんかのイメージではなかったのに、実際に現場へ行ってやりとりをしてみたら信じられないぐらいきちんとしたけんかになっていて、自分でも驚きました。“現場に行ったら変わるって、こういうことだ”というのを久々に味わいました。思ったよりもヒートアップしてしまって(笑)」

吉住 「そっちがそう来るなら、こっちはこんな感じですけど! みたいな(笑)」

森川 「という感じで、現場の空気感とお互いのお芝居の感じでヒートアップしていったというのが、とても印象的でした」

臼田 「また別のシーンでもけんかが始まるのですが、リハーサルの時から『そんなワード出てきた?』となるぐらい、台本に書いてある以上にマシマシにそのシーンを作っていたこともありました。私はそれを『まあまあ』と間に入る立ち位置なのですけれども、聞いていて笑ってしまうぐらいの掛け合いで、なんならもうちょっと見たいなと思ってしまったぐらいです(笑)」

吉住 「あまりにも盛り上がりすぎて、臼田さんが止めてくださっているのにずっとけんかを続けていました。人とけんかすることって、ほとんどないじゃないですか。だから疑似けんかのような感じで、ちょっと言い過ぎかなと思いながらも、やりとりを少し楽しんでいる自分もいました」

――3人とも異なった世代と性格のキャラクターですが、3人の関係性について感じたことがあれば教えてください。

森川 「年齢は全然違うけれど、こういう出来事をきっかけにプライベートでも仲良くなっていきそうだなという印象を抱きました。必要以上に相手に突っ込んでいく瞬間があるので、仕事でこういう関係になれたら言いたいことも言えるし、相手も思っていることを言ってくれることによってさらに良いものも作れるだろうから、とてもすてきな関係性だなと思いました」

臼田 「年代を超えて一緒にものづくりをするにあたり、一生懸命に熱くなれる仲間だということをリハーサル中に自然と感じることができました。この3人は『一緒に一つのものを作ろうね!』という気持ちにさせてくれる仲間です」

吉住 「佳代は売れない脚本家の役なので、テレビ局の3人がいる中、部外者ではないけれど外側にいるような感じでした。でも、ものづくりに真剣になればなるほど、エグいなというぐらい踏み越えてはいけない線を越えたり、踏み込む瞬間もあったりで。それぐらい本気だから良いものが作れるのだなと。ピンで活動しているとなかなか気づけないことです(笑)。こういう感覚はとても大事だなとあらためて感じたので、芸人としても大事なものとして持ち帰っていこうと思いました」

――それぞれ演じたキャラクターと1日を過ごせるとしたら、何をして過ごしたいですか。

森川 「美知留におすすめのドラマを教えてもらいたいです。本人はドラマが好きでこの業界に入ったので、私よりも面白いドラマをたくさん知っていそうですよね。美知留の家のシーンでは、DVDなどもたくさん置いてあります。それは美知留の好きなドラマのDVDを趣味でたくさん買っているだろうから、彼女のお気に入りの作品を借りて一緒に鑑賞したいです」

臼田 「岡部さん演じる護間さんが、大事な場面でなくてもちょいちょい男を出してきていて、それがすごくおかしくて『とても嫌だけれど、でもやっぱり好き!』みたいな気持ちになってしまったので、そんな護間さんと飲みに行きたいです」

吉住 「佳代は本当にうじうじしていて、それは周りに心配されるだろうという感じです。大人なんだから気を使わせちゃダメだよと思ったので、スポーツなどを一緒にやって佳代を鍛えたいです(笑)」

――私生活で抱える“訳アリ”事情が仕事に影響するという場面もありますが、皆さんはどのように仕事とプライベートを両立されていますか。

森川 「あまり大勢でワイワイやるタイプではないので1人で行動することが多いのですが、人と会わずに仕事だけをしていると、ネガティブになって疲れてしまったり、視野が狭くなって自分のことしか見えなくなったりしてしまいます。久々に誰かと会った時に気持ちが解放されてスッキリするところがあるので、どれだけ疲れていも誰かに会うようにしていますね。仕事に集中し過ぎないよう分散していくことを心掛けています」

臼田 「仕事とプライベートの両立はほど遠いです(笑)。あとは、子どもが急に熱を出したり、お迎えが必要になったりで、思うようにコントロールできないですよね。仕事だとある程度のスケジュールは組めるけれど、子どものこととなると全く思うようにいかないので、両立は諦めています(笑)。でも、すべて自分が好きで選んできた道だから、今この瞬間どっちを選択するか、何が大事か、というふうに考えながら生きています」

吉住 「私は『仕事に全振りしたな』と絶望しています。芸人は30歳ぐらいからやっとテレビでのキャリアをスタートできるイメージです。でも私と同い年ぐらいですと、子どもを持つ方々もいらっしゃいます。そういう意味では、今まさに悩んでいる最中ですね(笑)。そうなってしまったら一日一日をしっかり生きていくしかないかなと思っています。だから『今もし子どもがいたら、こういう人生もあったのかな』と思いながら佳代を演じました」

――最後に視聴者の皆さまへメッセージをお願いします!

森川 「なかなかシチュエーションが変わらない会話劇に見えるかもしれませんが、実はそこにいろいろなドラマが詰まっていて、見れば見るほど面白くなっていくと思います。最後まで見ていただいて、視聴者の皆さんがどう感じたのかを知りたいです。ぜひご覧ください!」

臼田 「物語が進むにつれて『こう展開しちゃうの?』というところが本当に面白おかしく描かれているなと感じます。そして、ドラマ作りの裏側ものぞき見したような気分が味わえるのではと思うので、そういった視点でもお楽しみください」

吉住 「テレビ業界のあるあるが詰まっています。スタッフの皆さんと『これ、あるある!』と会話をしながら撮影をしましたので、リアリティーがあってお楽しみいただけると思います。そして、さまざまな女性の悩みや共感できる部分もたくさん出てくるかと思います。同調したりしなかったりをしながら、最後は少しスカッとするようなコメディーになっていますので、ぜひご観賞ください」

【プロフィール】

森川葵(もりかわ あおい)
1995年6月17日生まれ。愛知県出身。2010年、雑誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルオーディション「ミスセブンティーン」でグランプリを獲得。15年4月号まで専属モデルを務め、同年に「テディ・ゴー!」(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演を務める。主な出演作に、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」「ナンバMG5」(ともにフジテレビ系)、「褒めるひと褒められるひと」(NHK総合)、「大奥」(フジテレビ系)、映画「天外者」(20年)、「ある閉ざされた雪の山荘で」(24年)などがある。「太田光のつぶやき英語」(NHK Eテレ)のMCとしてレギュラー出演するなど多方面で活躍中。


臼田あさ美(うすだ あさみ)
1984年10月17日生まれ。主な出演作に映画「南瓜とマヨネーズ」(2017年)、「架空OL日記」(20年)、ドラマ「目の毒すぎる職場のふたり」(Hulu)、「ブラッシュアップライフ」(日本テレビ系)、「いちばんすきな花」(フジテレビ系)などがある。映画「愚行録」(17年)の出演にて第39回ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。主演を務めているオリジナル連続ドラマ「夫婦の秘密」(BS-TBS)が絶賛放送中。


吉住(よしずみ)
1989年生まれ。福岡県出身。2015年にデビューし、16年にムテンカナンバー解散後、ピン芸人として活動。「芸人No.1決定戦 THE W」で18年に決勝進出し、20年に優勝を果たす。「ボクの殺意が恋をした」(日本テレビ系)でドラマ初出演し、22年に気鋭の若手芸人6人が共演して書き下ろした短編小説では「そそぐ」で小説家デビューも果たすなどマルチに活躍中。トークバラエティー「イワクラと吉住の番組」(テレビ朝日)が絶賛放送中。

【番組情報】

「訳アリ女ダイアリー」
TBS
3月2日(土)午後2:00~2:54
※一部地域を除く
※放送後、TVer、TBS FREEにて2週間無料見逃し配信、U-NEXTにて見放題独占配信

取材・文/S・Y(TBS・MBS担当)

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