猫に起きがちな『おしっこトラブル』3選 再発を繰り返さないための予防法も

1.トイレ以外での粗相

猫がトイレ以外で排尿する行動は、一般的にストレスや健康上の問題に関連しています。

原因は多岐にわたりますが、次のような原因が考えられています。

原因

猫がトイレ以外で粗相をする理由には、

  • 未去勢、未避妊
  • 泌尿器系疾患
  • 不満の訴え(ストレス)
  • 同居ペットとの社交問題
  • トイレトレーニング不足
  • 老化

などがあります。

トイレ以外で排尿してしまう原因は、あまりにも多岐にわたるため、なかなか特定しにくいことがあります。

特にストレスや社交問題の場合には、そのような部分が負担になっているかを想定し、ひとつずつ消去法で探していくことになります。

対策

まずは、動物病院で健康状態をチェックしましょう。泌尿器系の問題だけでなく、老化によってトイレまで我慢できなくなってしまった可能性もあります。

また、去勢や避妊も適切な時期に行うことで、将来的に猫も人も大変な思いをしなくて済むので獣医師に相談しましょう。

身体的な問題がなければ、ストレスを減らすために環境を整えましょう。同居しているほかのペットとの関係や、飼い主の生活状況も見直すことも必要です。

「猫専用の空間」を作り、猫のニオイがついた毛布などを置いておくと気持ちを落ち着かせる効果があるので、粗相を軽減できるかもしれません。猫用のフェロモン製剤を試してみるのも良いでしょう。

また、猫は一度自分の尿のニオイがついていると、またそこで排尿することがあります。洗えるものはしっかり洗浄してニオイを残さないことも大切です。

猫のトイレ以外での排尿は、飼い主にとってもストレスですが、原因が特定できれば解決できる可能性が十分あります。

2.尿路結石

猫が一日のうちで何度もトイレに行くことが増え、トイレの周りで不安そうな表情を見せ、排尿を試みるがすこししか尿が出ないことがあります。

不快感からグルーミングが増えて、痛みから鳴き声をあげることもあります。尿路結石は、命にかかわる重大な病気です。

原因

尿路結石の原因は、水分摂取量や食事内容、肥満などが関係しているといわれています。

尿路結石は「ストルバイト結石」「シュウ酸カルシウム結石」の2種類がありますが、どちらも再発を繰り返しやすい病気なのでしっかり治療し予防することが大切です。

猫はもともとあまり水を飲まない動物で、尿を限界まで濃縮する身体的特徴も要因のひとつです。そのため、飲水量が少ない上に水分の少ないドライフードばかり食べている猫は特に注意が必要です。

尿路結石が形成されるメカニズムはわかっていますが、実際には、多頭飼いの家庭で同じフードを食べていてもなる子とならない子がいるため、発症原因は体質によるものも少なくありません。年齢も性別も、関係なく発症します。

対策

結石によって尿路閉塞を起こすと命にかかわります。緊急性を理解して、すみやかに獣医師に診てもらうことが大切です。

病院では療法食が勧められるかもしれません。

尿路疾患用の療法食は、含まれる成分を特別に調整することで結石や結晶の形成を防いだり、一部の結晶を溶解させるものです。

利尿促進の目的でミネラルを増量しているフードもあり、一部の猫には不向きなものがあります。療法食は必ずかかりつけの獣医師の指示に従って与えましょう。

また、ふだんから適切な量の水分摂取ができるようにしましょう。ドライフードだけでなくウェットフードを併用する、寒い時期には飲用水をお湯に変えるなどの対策も有効です。

3.特発性膀胱炎

猫の特発性膀胱炎は、症状は結石のときと似ていますが、細菌や結晶・結石などがみられない膀胱炎で原因不明の病気です。

猫は頻尿や痛みから鳴き声をあげたりすることがあります。特発性膀胱炎は、症状が収まったり、再発したりを繰り返しやすい特徴があります。

原因

検査をしても細菌などが検出されないタイプの膀胱炎を特発性膀胱炎といいます。いわゆる原因不明の病気です。

傾向としては、比較的若い猫に多く、膀胱粘膜の異常や慢性的なストレスなどが見られます。

猫のストレス要因には、次のようなものが考えられます。

  • 家族や同居ペットと仲が悪い
  • 生活空間の制限(ケージ暮らしなど)
  • 近隣の騒音
  • 家の近くに野良猫など他の猫が来る
  • 家族や同居ペットの不在や死亡
  • 人慣れや家慣れのできない

何もしなくても数日内に収まることが多いものの、慢性的なストレスがあると再発しやすく、根治するのがむずかしくなります。

対策

初期の血尿では、トイレの砂が真っ赤になることがあります。血尿がわかったら、すぐに獣医師の診察を受けることが大切です。

病院では、排尿時の痛みを軽減するため、消炎鎮痛剤を使うことがありますが、特発性膀胱炎そのものの治療薬ではありません。ストレスからくる場合は、再発の可能性が高くなります。

自宅では、猫のストレスの原因を特定し、できるだけ取り除くようにしましょう。

病院で泌尿器疾患用の特別な食事を指示された場合もあります。

尿器系の異常は、最終的に腎臓病に進展することもあるため、特に食事の指示がない場合は、できるだけウェットフードなどを取り入れ、猫の飲水量を増やすなどを工夫しましょう。

まとめ

今回紹介した猫のおしっこのトラブル3つのうち、トイレ以外での粗相は、布団の上やソファなどで起こりやすく、飼い主を悩ませる問題のひとつです。

洗濯や清掃に気を取られてしまいがちですが、まずは猫の健康上の問題がないか病院で調べてもらうことを最優先してください。

猫は、尿路疾患になりやすいといわれます。

特に結石は、発症ケースによっては命にかかわる危険があります。

また、膀胱炎の中でも原因が不明な特発性膀胱炎は、ストレス管理が大切です。ときには家族の生活を見直す必要もあるかもしれません。

いすれも再発しやすいこともありますので、しっかりと治すようにしましょう。

長く猫を飼っていると、一度は経験してしまうことのある猫のおしっこトラブル。そこには、猫の心と体の健康が大きく関係していることを覚えておいてください。

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