中国のデジカメ市場、「若者の力で復活」、富士フイルムの新製品に24時間で予約30万台

中国のデジカメ市場が「若者の力で市場が復活」と地元メディアが報道。富士フイルムが発表した小型軽量の新製品の予約は開始から24時間で30万台を超えた。写真は富士フイルムのデジカメ。

富士フイルムが2月、4年ぶりとなる小型軽量デジタルカメラの新製品「X100VI」を発表した。日本でデジカメはスマートフォンに押され気味だが、中国メディアは「若者の力で市場が復活」と報道。3月1日に抽選で購入できる新製品の予約は開始から24時間で30万台を超えた。

富士フイルムによると、X100VIは今回の更新により新たに開発されたボディー内手ブレ補正が使われ、20種類のフイルムシミュレーションを手にした。またディープラーニング技術を用いて開発したAI(人工知能)による被写体検出AF(自動焦点)を搭載した。

中国網が紹介した経済観察報の記事によると、富士フイルム(中国)の孫東亮副総経理は中国市場と日本市場の差について「非常に大きい」と指摘。「日本のカメラ市場の成長は多くの若者によって支えることができない。ところが中国では若者の力が非常に顕著であり、かつ変化のペースが非常に早い。ビジネスモデルや販売モデルのほか中国市場が日本のカメラ市場の発展の過程から参考にできることは非常に少ない」と続けた。

さらに「特にユーザーの洞察、製品の応用やマーケティングにおいて、中国市場は中国に身を置き、中国のために考えなければならない」と言及。「富士フイルム(中国)はデザインや性能の面で若者の好みと需要を満たそうとしている。日本で変化は危機を意味するかもしれないが、中国でそれはチャンスを意味する」と強調した。

中国市場の成長には理由がある。日本のカメラ映像機器工業会(CIPA)が2月1日に発表した報告書によると、日本のデジカメの世界売り上げは2023年に前年比4.9%増の7143億円となり、3年連続で増加した。地域別に見ると、中国市場は前年比24.6%増の1977億円で、伸び率が日本市場を上回った。欧州および米国市場は前年比で減少した。

デジカメは世界的な半導体不足などの影響で電子テクノロジー市場のブラックホールになり、原材料不足に悩まされてきた。生産の遅延、物流の混乱などの問題も重なり、製品供給の態勢を整える期間が必要になった。

今後の見通しについて、デジカメラ市場の十数年の変遷を追ってきた就業者の一人である孫氏は中国市場が力強く成長するとしながらも慎重な態度を保っている。特にSora(米AI研究会社OpenAIが発表した動画生成AIモデル)の登場により、カメラに「ナマズ効果」(あるグループに異質な存在が加わることで刺激となり、グループ全体の活力が増すこと)が訪れると予感している。(編集/日向)

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