「信頼を裏切った」元弁護士に懲役2年8か月の実刑判決 成年後見制度を悪用して約2350万円横領 広島地裁

成年後見制度を悪用するなどして、2300万円あまりを横領した罪に問われた元弁護士の男に、広島地裁は1日、懲役2年8か月の実刑判決を言い渡しました。

判決によりますと、福山市の元弁護士成田学被告(56)は、2018年6月からおよそ4年間に成年後見人や遺言執行者として男女3人から預かった現金およそ2350万円を着服しました。また、横領の発覚を免れるため通帳の写しを偽造して家庭裁判所に提出するなどしました。

判決で広島地裁の石井寛裁判長は「多額の財産について適切な管理を行うはずだという弁護士への信頼を裏切った」「悪事をごまかすために悪事を重ねたその態度は厳しく非難されるべきだ」と述べました。

一方、成田被告が被害額を横領した現金や両親からの借金で弁償していたことについては、「横領を取り繕うためにしたもので、量刑を考慮するにも限度がある」と指摘。

「罪を認め、謝罪の言葉を述べていても刑の執行を猶予するのが相当な事案ではない」として、懲役4年の求刑に対し懲役2年8か月の実刑判決を言い渡しました。

弁護側はRCCの取材に対し「控訴するか検討する」としています。

判決について、成田被告が所属していた広島弁護士会の坂下宗生会長は以下の談話を発表しました。

「当会の会員であった成田学元弁護士が、業務上横領等の罪で懲役2年8月の実刑判決を受けました。判決で認定された事実は、当会所属期間中に、遺言執行者や成年後見人として他人から預かった現金計約2348万円を着服したなどというもので、弁護士に対する市民の信頼を著しく損ねるものであることは言うまでもありません。当会は、会員の不祥事防止に向けて、関係規程の整備や研修の実施等様々な努力を重ねて参りましたが、にもかかわらず、このような由々しき事態が生じたことを厳粛に受け止めています。本判決を受け、当会は、弁護士不祥事の根絶と弁護士に対する市民の信頼確保のため、さらに全力で取り組む決意です」

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