大分県別府市の県立特別支援学校で2016年、知的障害がある高等部3年の林郁香さん＝当時（17）＝が給食を喉に詰まらせて死亡したのは、食事中1人にしたためだとして、遺族が県に約3700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大分地裁は1日、「見守りの義務に違背した」として660万円の支払いを命じた。
石村智裁判長は判決理由で、食べ物をかき込み、よくかまずのみ込む傾向があると教諭は認識していたと判断。重大事故につながる可能性があり、窒息を防止すべき義務があったと認定した。
その上で、限られた人的態勢だったとしても、他の教職員に依頼するのは容易で、見守りの義務に背いたと指摘し、死亡との因果関係も認めた。
判決によると、16年9月15日、県立南石垣支援学校で給食時間中、見守り役の教諭は、別の生徒を教室に連れて行くためランチルームを離れた。約3分後、林さんが倒れているのが見つかり、病院に運ばれたが、同10月2日に死亡した。
母香織さん（54）は記者会見で「責任があったと明確に認められて良かった」と涙を流した。
