【持ち帰り残業】保育士をしていますが、「持ち帰り仕事」が多いです。これは違法ではないのでしょうか?

仕事の持ち帰りが違法になるケースとならないケース

仕事を自宅に持ち帰る場合は、状況に応じて残業扱いになる場合があります。労働基準法では、時間外労働にあたる業務に対しては割増賃金を支払う決まりとなっています。

仕事の持ち帰り自体が違法ではありませんが、状況に応じて判断が分かれるようです。ここでは、違法になるケースとならないケースをご紹介します。

違法になるケース

仕事の持ち帰りが違法になるケースは、次のような場合が考えられます。

__●仕事を持ち帰って自宅で行うように指示されたが、残業代が支給されない
●残業時間の上限を超える仕事量を命じられる
●仕事を持ち帰るように圧力をかけられる__

上記のように、上司や保育園の指示のもとで、自宅に仕事を持ち帰っているにもかかわらず残業代が払われない場合は、違法になる可能性があります。一方で、残業時間には上限が定められているため、持ち帰りの仕事が上限を超えるような場合も違法になることがあります。

長時間労働や不当な圧力をかけられるケースは、精神的負担にもつながりますので、一人で抱え込まずに、同僚やほかのスタッフに相談してみましょう。

違法にならないケース

次に、違法にならないと考えられるケースを見てみましょう。

__●自主的に仕事を持ち帰った場合
●持ち帰りでの仕事を会社が禁止している場合__

上司からの指示ではなく、自主的に仕事を持ち帰った場合は、違法にはならない可能性があります。残業として認められるケースは、あくまでも会社の指揮命令下にある場合です。

会社が持ち帰り仕事を強制・認知していない場合には、自主的と判断されることもあるようです。もちろん会社が、持ち帰って自宅で仕事をする行為を禁止している場合も同様です。

また、自宅のほうがはかどるからと、仕事を持ち帰る方もいらっしゃるかもしれません。仕事内容によっては情報漏えいにあたる可能性もあるため、安易に持ち帰ることは危険です。業務中にこなせる仕事量であれば、思いがけないトラブルを防止するためにも、保育園で作業したほうがよいでしょう。

持ち帰りの仕事が違法にあたるか否かは状況によって異なる

保育園での仕事を自宅に持ち帰った場合に、違法にあたるか否かは状況によって異なります。保育園の指揮命令下のもとで仕事を持ち帰った場合や、許容範囲を超えた仕事量を押し付けた場合、持ち帰り仕事の強制などの場合には、違法となる可能性が高いといえます。

仕事量が多すぎるときには一人で抱え込まずに、同僚やほかのスタッフに相談してみましょう。自宅に仕事を持ち帰らなくても済む方法を見つけて、保育園側と働きやすい環境づくりについて話し合うことが大切です。

出典

厚生労働省 労働基準局 補償課 労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集 問11 いわゆる持ち帰り残業は労働時間に該当するか。(31ページ)
厚生労働省 東京労働局 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編 もっと詳しく!(1) 時間外手当が必要なケース(4ページ目)

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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