「プロテニス界が自分を呼んでいる」リオ大会8強入りの17歳フォンセカが米国名門大学進学を見送りプロへ<SMASH>

男子テニス界の超新星として注目を集めている17歳のジョアン・フォンセカ(ブラジル/世界ランク343位)が、2月29日に更新した自身の公式インスタグラム(@joaoffonseca)でプロ転向を正式に発表した。

最近話題の的となっているフォンセカは、アグレッシブな攻撃と粘り強さを武器に持つ新進気鋭の若手の1人だ。昨年9月の全米オープンジュニアでは見事優勝。トップ選手たちからも期待を寄せられており、11月のシーズン最終戦「ATPファイナルズ」ではカルロス・アルカラス(スペイン/現2位)やダニール・メドベージェフ(ロシア/同4位)のヒッティングパートナーも務めた。

今季は700位圏外からシーズンをスタートしたフォンセカの名前が知れ渡ったのは、ワイルドカード(主催者推薦)で出場を果たした先週開催の「リオ・オープン」(ブラジル・リオデジャネイロ/クレーコート/ATP500)でのことだった。

地元ファンの大声援を背に生き生きとしたプレーを見せたフォンセカは、1回戦で世界44位のアルトゥール・フィス(フランス/19歳)を下してツアー初勝利を挙げると、2回戦では元世界17位のクリスチャン・ガリン(チリ/現83位)を破って準々決勝へ進出。この結果、男子選手で史上5番目の若さとなる17歳6カ月でのツアーベスト8入りを果たすという快挙を成し遂げたのだ。

成長著しいフォンセカだが、当初はプロ転向ではなくアメリカの名門バージニア大学への進学を予定していたという。進学後にはカレッジテニスに打ち込む旨も先方に伝えていたようだが、ここにきて突如方向転換した形だ。このほどインスタグラムで「世界中のサポーターとテニスファンの皆様へ」と切り出したフォンセカは最近の自身の活躍が今回の大胆な決断を後押ししたとして、こう報告している。
「私は大学受験資格を破棄し、2024年をもってプロに転向することになりました。シャーロッツビル(バージニア大学の本拠地)で大学生活を送り、素晴らしいチームメイトやコーチたちと一緒に大好きなスポーツに励むことを夢見ていたので、これは私と私の家族にとっても信じられないほど難しい決断でした。しかし、ここ数カ月でプロテニス界が自分を呼んでいるような気がして、単純にそれに対して“ノー”とは言えなかったのです」

続けて進学の準備を進める中で支えてくれた人々に対する感謝の言葉をこう記した。「バージニア大学と私の大学進学(の準備)に関わった全ての人々に心から感謝しなければなりません。大学テニス関連の決断についてプレッシャーを感じたことは一度もありませんでした。みんなが私に必要な心の余裕を与えてくれました。大学と同大学のコーチ、アンドレス・ペドロソにはいくら感謝してもしきれません。私はこれからもずっとキャバリア(バージニア大学のスポーツチームの愛称)の強力なサポーターであり続けます」

その上でフォンセカは「今回私は進学をしないことになりましたが、進学という選択肢自体は若いテニス選手にとって、プロ選手を目指す上で、非常に貴重かつその実現を後押してくれる道だと思っています」とコメント。最後は改めて「皆さんに心より感謝を申し上げます」と締めくくった。

過酷なプロの世界で様々な経験を積みながら、今後もフォンセカがさらなる成長を遂げてくれることを期待したい。

文●中村光佑

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