「生理でもプールに入れという先生がいる」教員の理解が不足している実態が明らかに【調査結果】

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「生理でもプールに入れという先生がいる」

「生理による体調不良は甘えだ、ズル休みだ、といった考えをやめてほしい」

経済的な理由などから生理用品を十分に手に入れられない学生に「奨学ナプキン」を提供してきた大王製紙が3月1日、2023年度の奨学生を対象とした最終アンケートの結果を公表した。

2022年4月に始まった奨学ナプキンは、さまざまな事情で生理用品の入手に困っている学生2000人を対象に、生理用ナプキンを1年間無償で配布する取り組み。最終のアンケートを昨年12月に実施し、小学生から大学生まで1170人の奨学生から回答を得た。

アンケート結果によると、1年間の無償提供期間を終えて、奨学ナプキンを周囲にも勧めたいかを尋ねたところ、98.1%が「勧めたい」と回答。「ナプキンを気軽に取り替えられるようになって衣類が汚れることが減った」「同じナプキンを長時間使い続けることがなくなり、かゆみが出たりかぶれたりすることが減った」という声が寄せられたという。

「奨学ナプキン」をまわりの人に勧めたいですか?

奨学生としてナプキンを受け取るようになって感じた生活の変化は?

生理に関する社会の理解は「どちらとも言えない」が最多

奨学ナプキンを通じて個人の生活には前向きな変化が見られた一方、生理に関する社会の理解浸透については「まだ不十分」と捉えている学生が多いようだ。

生理に関する社会の理解について変化の有無を尋ねると、「どちらとも言えない」との回答が32.1%と最多となった。具体的には「無償のナプキン配布は増えたと感じるが、理解が深まっているとは言い難い」「生理についてのコンテンツは増えたが興味のない人まで情報が行き届いていない」といった意見が寄せられた。

商業施設での無償ナプキン配布や、生理に関するサイトやアプリなどは増えているものの、それに対してまだ周囲の理解が追いついていないのが現状だろう。

生理に関する社会の理解について、この1年間で変化があったと感じますか?

生理について、今後社会に変わってほしいことは?

アンケートでは、社会の生理に対する理解を求める意見も多く寄せられた。

「生理の症状には個人差があることを知ってほしい」「生理による体調不良は甘えだ、ズル休みだ、といった考えをやめてほしい」など周囲の理解不足に悩む声も多く見られたという。中には「生理でもプールに入れという先生がいる」との声もあり、教員に対しても生理教育が足りていない実態がうかがえた。

「トイレットペーパーと同じように、どのトイレにもナプキンが置いてある社会になってほしい」「被災時にも十分な量を配布できるようになってほしい」など、社会的なサポート不足を指摘する声もあった。また、「生理休暇がもっと使いやすくなってほしい」「生理で休む場合は欠席日数にカウントしないでほしい」など、生理での休みに関する要望も見られた。

23年12月には文部科学省が、公立高校入試の受験日と生理が重なった場合の対応について、追試験の対象とするよう全国の教育委員会に通知するなど、徐々に生理痛や月経前症候群(PMS)による「生理休暇」が認められるようになってきたが、まだ浸透は不十分だと感じている学生も多いようだ。

こうした調査結果を踏まえ、大王製紙は24年4月9日から24年度の奨学生を募集することを決定した。「今回のプロジェクトで明らかになった課題と向き合い、多様性のある社会でひとりひとりの生理に寄り添うきっかけ作りをさらに進めていく」としている。

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