日本生協連 総合力で「地域の守り手」に 若年層獲得が優先課題

日本生活協同組合連合会は2024年度、健康・国産原料・時短をキーワードに、変化時代における人々の「ふだんのくらし」を支える。若年層獲得に向けては身近なSNSなどの情報発信を強化、生協を自分ゴト化してもらいトライアルにつなげる。

藤井喜継代表理事事業担当専務は直近の消費傾向について「節約志向から利用点数は減少しているが、豆腐や納豆、牛乳など日配品は前年より高く推移。生活必需品が多く購入され家庭用品は買い控えている」など説明(2月6日の方針説明会)。

利用人数・点数が減少している宅配事業については「成長が止まっているという認識。利用者同士の口コミの繰り返しで成長してきた事業で、コロナ禍で急拡大してから広げ切れていないが拡大余地は十分にある」とし、空白マーケットの若年層獲得を第1課題とした。

若年層との接点強化に向け、女性向けweb媒体にて、タレントの池田美優(みちょぱ)さんを起用した情報発信を実施している。生協未加入者が宅配を手軽に試せる「TRY CO・OP」は、興味を持った人に積極的にアプローチして利用につながった成功事例を、各地域生協が共有することで次のトライアルにつなげる。これに向けて若年層推進部会を立ち上げた。

総合アプリにも注力する。組合員が購入しそうな商品をAI予測する注文予測型レコメンドは利便性向上につながっていることから、さらなる導入生協の拡大を目指す。

土屋敏夫代表理事会長は、将来的な人口減少や人手不足、インフレなど危機的状況を見通したうえで、改めて生協の存在意義について説明。

「小さい地方の生協を含め、すべての人が利用できるという強い使命感を持っている。パイの縮小は現実で、もはや右肩上がりの数字議論だけを基準にしてはいけない。各地域の人と長く付き合い若い世代から長く支持してもらうため、食・福祉・共済など生協の総合力を生かして組合員とのタッチポイントや役立つ場面を増やし、地域の守り手であり続けたい」と力を込めた。

© 株式会社食品新聞社