農家の果樹を無断で伐採 嘉手納町に33万円の賠償命令 那覇地裁、町の過失を認定 農家「少額で納得できない」

(資料写真)那覇地裁

 沖縄県嘉手納町の専業農家の女性(60)が、町が依頼した業者に同意なく果樹を伐採されたとして、約1191万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、那覇地裁沖縄支部であった。足立堅太裁判長は女性の主張を一部認め、町に33万円の支払いを命じた。

 判決によると、町は女性が畑として借りる町有地の隣の区画の除草を業者に依頼。業者は2019年2月と同年8月に女性の畑の一部まで伐採、伐根した。

 足立裁判長は、町職員が業者に除草範囲や畑との境界線を明確に示さなかったとして「過失が認められる」と判断した。

 女性は無農薬無肥料の自然栽培をしており、町は「雑草、雑木しかなかった」と主張していたが、女性の農業日誌や証言を一部採用。「額を立証することが極めて困難」としつつ、ミカン科のホワイトサポテ1本、アボカド2本などの損害を認めた。

 女性は本紙取材に、収穫を予定していた果樹は「大きな収入源になるはずだった。少ない額にびっくり。納得できない」と話した。

 町は「弁護士からの報告を待って対応を検討したい」とコメントした。

© 株式会社沖縄タイムス社