引っ越しの際に、フローリング上の傷について「修復費用」を請求されました。支払わなければダメですか?

フローリングの傷による原状回復トラブルは多い

民法621条では、原状回復義務について「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く(一部抜粋)」とされています。生活において必然的に発生する傷、たとえば太陽光による日焼けや経年劣化が原因の傷、汚れに関して修復費用は負担しなくていい可能性が高いでしょう。

しかし、こうした不可抗力に近い理由で残った傷についても、修復費用を請求されることもあるようです。特に多いとされているのはフローリングの傷によるものです。

生活をするうえでは、どうしてもうっかり物を落としたり、家具を移動させたりする際にフローリングに傷がつくことがあります。しかし、「気を付ければ防げたのでは?」と判断されて、傷の修復費用を請求されるケースがあるようなので注意が必要です。

賃貸物件の原状回復トラブルの対処法はある?

賃貸物件における原状回復トラブルは、早めに対策しておくことが重要です。フローリングの原状回復トラブルの対処法や、入居時に気をつけるべきことを解説します。

カーペットやクッションフロアで保護する

フローリングに傷を付けないよう、カーペットやクッションフロアなどの敷物を活用し、フローリングを保護するといいでしょう。

特にクッションフロアはビニール製の床材で、簡単に敷くことができます。また、ビニールなので、もし飲食物をこぼしてしまっても簡単に掃除できます。

特に小さなお子さまがいらっしゃるご家庭の場合、お子さまが飛び跳ねて遊ぶなどの騒音による近隣住民の苦情を受けるリスクも軽減できるので、積極的にカーペットやクッションフロアを採用したいところです。

入居時の状態を写真に残しておく

入居時の状態を写真や動画にて残しておけば、元がどうなっていたのか確認しやすく、客観的な証拠にもなるので、トラブルを未然に防ぐことができます。

記録しておくことで、自分がつけた傷に関しても納得して修復費用を支払えるはずです。

また、もしオンラインで内見をする場合は、その映像をそのまま残しておくのもいいでしょう。動画の方が傷について確認しやすいことも多く、証拠になります。

事前に対策して原状回復トラブルを回避しよう

フローリングについた傷について、想像以上の修復費用を請求されることもあります。そこで重要なのは、そもそも傷をつけないこと、そして入居時の状態を記録として残しておくことです。

これにより退去時の費用をおさえることができますし、自分がつけていない傷の修復費用を請求されても対処できます。

引っ越しの際は退去費用のほかにも、家具や家電を買い替えるなど、想像以上に出費が重なることも多いので、防げる出費は未然に防ぐことが重要といえるでしょう。

出典

デジタル庁 e-GOV法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第六百二十一条

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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