専業主婦ですが投資信託を売ったら「50万円」の利益がでました。扶養から外れなければいけないですか?

社会保険の扶養を外れる危険があるのは売却益が130万円以上のとき

社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)について、配偶者などの被扶養者となれるのは、被保険者の収入で生計を維持されていて、原則として次の収入要件をいずれも満たす人です。

__・年収が130万円未満(60歳以上または障害厚生年金が受給できる程度の障害者は180万円未満)
・年収が被保険者の年収の2分の1未満__

1年間の収入が投資信託を売って得た50万円のみであれば、年収要件をオーバーすることは考えにくく、扶養を外れる必要はありません。ほかに副業などの収入がある場合は、合算して1年間の収入が130万円を超える見込みがあれば、扶養を外れなければならない可能性があるため注意が必要です。

投資信託の売却で利益を得ると配偶者控除の対象を外れる可能性がある

妻の収入が一定額を超えると、夫の税額計算時に配偶者控除や配偶者特別控除を適用できなくなったり控除額が減ったりするため、所得税や住民税の負担が増える場合があります。例えば、所得税の計算において配偶者控除・配偶者特別控除を受けられる収入の基準は、図表1のとおりです(妻が70歳未満の場合)。

【図表1】

国税庁「No.1191 配偶者控除」「No.1195 配偶者特別控除」より筆者作成

妻の収入が投資信託を売って得た50万円だけであれば、夫は自身の収入額に応じて最大38万円の配偶者特別控除を受けられます。妻に副業などの収入もある場合は、投資信託で得た50万円とその他の収入との合計額によって、配偶者特別控除の金額が決まる仕組みです。

妻の合計所得金額が増えるほど配偶者特別控除の金額は段階的に減るため、夫の税負担が増える可能性があります。妻の合計所得金額133万円を超えると、控除額が0になることにも注意しましょう。

配偶者控除の判定に影響するかどうかは投資信託の口座の種類による

妻に投資による収入があるとき、夫の配偶者控除・配偶者特別控除の判定に影響するかどうかは、投資に使用している口座の種類でも異なります。

投資に使用する口座は、投資家自身が譲渡損益の計算や確定申告を行う「一般口座」と、金融機関が損益を計算して年間取引報告書を作成してくれる「特定口座」の2種類に大きく分けられます。

妻が利益を受け取っても夫の配偶者控除・配偶者特別控除の計算に影響がないのは、特定口座のなかでも証券会社が利益から税金をあらかじめ源泉徴収する「特定口座(源泉徴収あり)」で取引を行っている場合です。

「特定口座(源泉徴収あり)」で受け取った利益は非課税のため、合計所得金額に算入されず、配偶者の税額計算への影響はありません。同様に、運用益が非課税となるNISAで利益を得た場合も、配偶者の税額計算に影響しません。

専業主婦で投資をするときは扶養を外れるボーダーラインや口座の確認を!

投資信託の売却など投資によって利益を得た場合、ほかの収入との合計額が一定額を超えると、社会保険の扶養から外れたり配偶者が税額計算時に配偶者控除を受けられなくなったりする可能性があります。

配偶者控除の判定に影響するかどうかは、投資に用いている口座の種類によっても異なるため、扶養を外れるボーダーラインや、自分が利用している口座の種類などを確認しておきましょう。

出典

国税庁 No.1191 配偶者控除
国税庁 No.1195 配偶者特別控除

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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