冬の大東島特集3回目です。今回、大東島へ向かった一番の目的は、沖縄の天気を伝える上で、昨年から続く少雨による社会的影響を肌で感じることでした。実際の島の様子は、想像していたよりも深刻なものでした。
「農業を続けられなくなるかも」
サトウキビ畑では、葉が内側に巻く「ロール現象」が見られ、大量のバッタが飛び交っていて衝撃を受けました。
北大東島で島の方に伺ったところ、「少雨の影響でサトウキビの生育に影響が出ていて、農家にとっては死活問題になっている。今年も同じような状況が続くと、農業を続けられなくなる農家が出てくるかもしれない」ともお話しくださいました。
雨は一滴も逃したくない
島の方との会話の中で、「雨水は島にとって重要、一滴も逃したくない」という言葉が印象的でした。島の道路は中央部分から端にかけて斜めになっているのが特徴で、雨水は逃さないと話していました。
「昔から晴れ女・晴れ男というけれど、大東島では雨女・雨男が歓迎されますよ」とも。サトウキビの生育には雨のタイミングが重要で、断続的に雨が降らないと困る、"10日間を一つの目安”としているそうです。
9月以降の台風 発生最少
2023年の沖縄地方の年降水量の地域平均平年比は88%で少なく、特に、南大東島では年降水量の少ない方からの極値を更新しています。
台風の発生数は、8月までは12個で平年並みとなりましたが、9月以降の発生数は5個(平年値11.6個)で1951年の統計開始以降最も少なくなっています。
南大東島への台風の接近は、6月に台風2号と台風3号、7月から8月にかけて台風6号、9月に台風13号の4個となりました。
最新の1カ月予報は
2月29日(木)に、沖縄気象台よりこの先1カ月の予想が発表されました。
4月1日(月)にかけての気温は、暖かい空気に覆われて高くなる見込みです。また、前線や湿った空気の影響を受けやすく、降水量は平年並みか多く、日照時間は平年並みか少ない予想です。
3月中旬にかけて天気はぐずつく予想
那覇の17日(日)までの天気傾向は、前線や湿った空気の影響で、曇りや雨の日が多くなりそうです。気温は4日(月)から6日(水)ごろにかけて、最高気温は25℃前後で、4月下旬ごろの気温の見込みです。
7日(木)から17日(日)にかけては、この時期らしい気温の日が多くなるでしょう。ただし、この先断続的に雨が降っても、これまでの少雨傾向を一気に解消するような雨ではない可能性があります。引き続き、節水を心がけることが大切です。
今週末は天気変化が大きい
2日(土)の沖縄地方は、寒気の影響や高気圧のへりに当たり、曇りや雨の天気となる見込みです。北寄りの風が強い状態が続きますので、強風にお気を付けください。
3日(日)は、沖縄本島や大東島地方で次第に高気圧に覆われるため、日差しが出そうです。久米島や宮古島地方、石垣島地方では天気の回復が遅く、曇りの時間が長くなりそうです。
各地の最高気温は、2日(土)は20℃に届かない所が多く寒さが続きそうです。3日(日)は、強い北風は収まり、気温は平年並みに戻る見込みです。
ゴルフ観戦は強風・寒さ対策を
女子プロゴルフツアーの国内開幕戦、第37回ダイキンオーキッドレディストーナメントが2月29日から4日間、南城市の琉球ゴルフ倶楽部で行われます。
開催地の南城市の2日(土)と3日(日)の天気は、雲が広がりやすくなりそうです。特に2日(土)は北寄りの風がやや強く吹くでしょう。昼間でも14℃前後の気温の見込みで、真冬の寒さとなりそうです。観戦に行かれる方は、強風と寒さ対策をした方が良さそうです。3日(日)は、昼間は日差しが出る時間帯もありますが、曇りの時間が長くなる見込みです。
崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。