個人経営の居酒屋なので給料は「手渡し」です。2年ほど「何も申告せず」お金を受け取っていますが、問題ないでしょうか?

「給料手渡し」は法的に問題ないのか?

労働基準法第二十四条には「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定められています。つまり本来であれば、給料は手渡しすることが原則とされているのです。

厚生労働省によると、会社と労働者の間で協定を結ぶことで、銀行振込による支払いが可能になるということです。

最近は多くの会社で銀行振込による給料の支払いが行われているため、手渡しだと不安に感じる人もいるかもしれません。しかし、法律的には手渡しでも問題ないとされています。

手渡しで給料をもらったときに確認すべきことは?

給料を手渡しで受け取るときに気になることが「源泉徴収は行われているのか」ということだと思います。

源泉徴収とは、給料の支払い者が従業員に給料を支払う際に、給料から所得税を徴収して納付する制度のことです。つまり、給料を受け取った際には、すでに所得税が支払われているということになります。

当然、給料が手渡しの場合であっても、事前に源泉徴収が行われていなければならないため、受け取ったらまずは確認が必要です。

所得税の納付義務が生じるのは、収入金額が、給与所得控除額55万円に、所得税の基礎控除額48万円を加えた金額である「103万円」を超えている場合です。給与所得が年間103万円を超えているにもかかわらず、所得税が給料から引かれていない場合は、脱税になる可能性があります。

税金が引かれていないようなら確定申告が必要

源泉徴収が行われず、税金が引かれていない状態で給料を手渡しされているのであれば、自分で確定申告をしなければなりません。確定申告とは、自分で税金を納める手続きのことであり、必要書類を作成して税務署に提出する必要があります。

無申告の場合は、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した無申告加算税が発生したり、延滞税が発生したりするおそれがあるため、注意が必要です。

源泉徴収が行われた状態で給料が支払われているか確認しよう

勤め先から給料が手渡しで支払われている場合は、手渡し自体に法的な問題はありません。ただし、手渡しの場合には、税金が引かれていない可能性も考えられるため、源泉徴収が行われているかどうかは必ず確認したほうがよいでしょう。

もし、源泉徴収が行われないままで給料を受け取っている場合は、自分で確定申告をして税金を支払う必要があります。それを怠った場合は、加算税や延滞税が発生する可能性があるため、注意が必要です。

出典

デジタル庁 e-Gov法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三章 賃金(賃金の支払)第二十四条
厚生労働省 労働基準情報:FAQ(よくある質問)-労働基準法に関するQ&A 賃金関係 Q我が社では従来、希望者にのみ給料を銀行振込にしていたのですが、事務経費削減のため、全社員を対象にしたいと思います。この場合、注意する点はありますか?

国税庁
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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