犯罪者は見た目で分かる?これから犯しそうな人を外見で判断することはできるの?【図解 犯罪心理学】

外見だけで判断することはできない

犯罪を犯した人、これから犯す人を見た目で判断することはできるでしょうか。

結論から言えば、現代の研究では、明確に判断することはできないとの考え方が一般的です。

これについては、多くの研究者が取り組んできました。

体の特徴と犯罪の関係を最初に研究したのは、イタリア人医学者のロンブローゾです。彼は、刑務所に収監されている犯罪者と、犯罪者ではない人を比較し、その原因を突き止めようとしました。研究を重ねた結果、ロンブローゾは犯罪者の身体的特徴として、①小さな脳②厚い頭蓋骨③大きな顎④狭い額⑤大きな耳⑥異常な歯並び⑦鷲鼻⑧長い腕が見られるとしました。これらの特徴は、人間よりも動物に近いと結論づけたのです。

ロンブローゾの研究は、犯罪を人類学的に捉えた点で評価できるものです。ただし、現在から見ると彼の説には多くの問題点があります。

その後もさまざまな研究がなされ、近年では連続犯罪者は目に特徴があるといった研究結果や顔の横幅の狭い男性は殺されやすいというような説も出ています。しかし、いずれも、ある程度の統計を基にした仮説の域を出ず、犯罪者や被害者を見た目だけで判断できるという結論にまでは至っていないのです。

出典:『図解 眠れなくなるほど面白い 犯罪心理学』

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 犯罪心理学』
監修:越智啓太

昨今、様々な事件や特殊詐欺など凶悪な犯罪が増えており、ニュースで犯罪に関する情報を聞かない日はないといえます。誰もが利用するSNSを介した犯罪も当たり前になっており、より巧妙化しながら身近に潜む問題にもなっています。こうした問題や実態について研究し、犯罪予防や再犯防止に役立てようとするのが『犯罪心理学』です。
犯罪心理学は、心理学の中でも実際の現場や実践に役立つことを目的とした“応用心理学”の1つで、特に犯罪行動・非行や犯罪者の心理・行動パターンに焦点を当てた研究分野です。専門書や教科書が多いジャンルですが、本書では図やイラストを用いて、1トピックを見開き1ページでわかりやすく解説。
“普通の人”が犯罪に手を出してしまう経緯、犯行内容から見える犯人像や周囲の環境、巧妙化する手口や防犯法など、知らなかった犯罪心理学を、楽しみながらもしっかりと学べる一冊です。

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